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誰もが悩む渡し方と相場
誰もが悩む渡し方と相場 - 「謝礼」にはれっきとした相場がある PDF 印刷 Eメール
作者 kojima   
2009年 1月 05日(月曜日) 13:24
記事索引
誰もが悩む渡し方と相場
謝礼を受け取らない医者はほぼいない
「謝礼お断り」の貼り紙は逆の意味
「謝礼」にはれっきとした相場がある
病院、医者によって違う「謝礼」のランク
「謝礼」の相場と医者の腕との関係
医者に実績を聞かないと「謝礼」は死に金になる
払うと決めたらあくまでドライに
診察の仕方によって2つの封筒を使い分ける
全てのページ
 病院で「謝礼」が日常化すると、いつの間にか「相場」が形成される。
 この相場は、過去に患者がいくら払ったか、またその医者がいくら受け取ったことによって作られるのだから、当事者が話さない限りわからないはずである。しかし、人の口に戸は立てられないとはよく言ったもので、払った人は必ず口外するのだ。そればかりか、医者自身ですら、自分から口を滑らす。これは、作為でしている場合も多く、つまり、「自分の価値はこれくらいだ」と、それとなく伝えている。

 その昔、千葉大学の名物教授だった中山恒明氏は、「大学を出たてのぺーぺー医者が切るのも、このおれが切るのも、手術代は同じなんだからなあ」と、日本の医療制度を批判しながらも、数十万円の「謝礼」を取っていたと言う。

 中山氏は、食道ガンの手術では世界でも有数な外科医とされ、その意見はまさに正論だったが、「ニセ診断書事件」が発覚して千葉大を追放されてしまった。もう、30年以上前の事件だが、そのころからちゃんと相場はあったのである。
 
 患者からこうした名医を名指しで指名された医者や医療関係者は、もしその名医が「謝礼」を取るなら、それを伝えねばならないだろう。だから、外科医の「謝礼」の相場は、関係者の間ではかなり知られている。

 この世界(どこの世界でもそうだが)、「蛇の道は蛇」で、もし相場がわからなくても、関係者をたどっていけばわかるようになっている。ここに「謝礼」の是非論を持ち出しても、無駄である。「謝礼」を受け取る名医のいる有名病院は、たいてい高度な医療を提供する「特定機能病院」の許可を受けており、原則として他の病院からの紹介状が必要とされるからである。

 もし、その病院が紹介以外の一般外来を受け付けていたとしても、患者が希望するその名医に手術してもらうことは、ほとんど不可能に近い。その名医がその道の権威であればなおさらである。

 大学病院や有名病院には確かに、名医といわれる先生たちがいる。開腹せずにおなかに小さな穴を開け、腹腔鏡下でガンの摘出手術をする医師、レザー治療でほとんどの腰痛を治してしまう医師など、そうした医者たちは欧米で最新の医療技術を修得してきている。

 むろん、治療実績がいいので、患者は引きも切らず、よほど力のある人に紹介を頼まないと、治療の順番はいつになるかわからない。いますぐにでもその名医にお願いしたいとなれば、割り込みとか診療時間外に診てもらうしかない。こうして、相場は暗黙のうちに決められていくのだ。

 もちろん、中には、いくら「謝礼」を渡そうとしても、絶対に受け取らない医者もいる。私の親しい某大学病院の外科医だが、手術の腕がいいことは日本でも有名であるが、患者がいくら渡そうとしても、突っ返す。が、それでも置いていく人がいる。その場合は医局に渡して、なにかの会合とか、医局の忘年会などの費用にあててもらっているという。しかし、彼みたいな医者は、めったにいない。

 有名大学の外科の教授が執刀した場合には、1回の謝礼が50万円以上に及ぶこともあるが、一般には10万円程度からというのがいまの相場である。
 
 私が大学の医局に在籍していたのは30年前だが、そのころは「謝礼」といっても商品券やブランデーといった品物が多かった。もちろん、現金の「謝礼」もあったが、それでも現在のような高額ではなかったように思う。それがここ十数年の間にれっきとした相場ができて、その金額は次第に高騰していった。
 都内のある有名な私立病院の“名医”と評判の外科医の相場は、1回の手術で100万であるが、この辺が現在の上限である。

 いまは定年退職しているが、ガンの摘出手術でよく知られる某医師は、「謝礼」だけで年間5000万円以上になったと聞いたことがある。そこで、1回の「謝礼額」を計算してみると、フルに手術していたとして週に4例、年52週で208例だから、平均24万円となる。しかし、このクラスの医師になると研究視察という名目で海外旅行にも出かけるし、それに正月休みやお盆休みもあるから、1年で200例ものオペをこなすのは不可能だろう。せいぜい、50例から100例である。だとすれば、実際には、平均50万円といったところか。      


 
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