200万人 印刷

日本の痴呆人口


 筆者の幼い頃は痴呆老人などめったにいなかった。それが現在200万人もいて65歳以上の1割にもなるという。85歳以上は4人に1人だそうだ。なぜ、こんなにも増えたかというと、平均寿命が延びたせいだ。筆者の幼い頃は人生50年といわれていた。今や人生80年いや90年の時代だ。

 高齢化社会になり、痴呆が増えた。痴呆といっても、アルツハイマー型痴呆症と、脳血管障害型痴呆症がほとんどを占める。後者は、脳梗塞や脳出血の後遺症的なものとして発症するわけで、防ぐためには、何より脳梗塞などを起こさないようにすればいいということになる。
アルツハイマー型の方は、原因がわかっていない。誰でも歳をとれば脳は萎縮してくる。でもその萎縮度が大きく、進行も早いとアルツハイマー型痴呆になる。痴呆のうち半分の100万人はこの型だ。進行すると徘徊、奇怪な行動をとるようになり世話をする家族だけではなく、周りにも迷惑をかけたりする。

 しかし、これだけ社会問題化されているのに、これといった対策はとられていない。介護保険制度でも、配慮されなかった。原因がわからないのだから、対策のたてようがないということなのだろうか。
脳のメカニズムで判らないことが、まだまだ多い。こういった研究にこそ多額の補助金を出して、早く解明する必要がある。

 ただ、今の段階で筆者が感じることは、うつ病患者が増えているのと同じ要因で、高齢者も孤独に感じることが多く、でも身体だけはまだ元気なので、うつ病とは反対に、やたら行動的になるのではということだ。痴呆の初期は、同じ話を針が溝に入りこんでしまったレコードのように、何度も繰り返すものだが、それを根気よく聞いてあげる人がいれば、それで治るとは思えないが、進行を遅らすことはできるのではないだろうか。