13/01/10●安倍内閣は及び腰?待ったなしの医療改革をまたも先送りか? 印刷

  安倍政権が誕生して早くも半月以上が過ぎた。今月末までに13年度予算案を決めなければならないが、急務とされる医療制度改革に向けての措置が見えてこない。

 「自助」を唱える安倍内閣は、予算案に生活保護費の引き下げを盛り込む見込みだが、高齢者医療費などの負担増は見送るという。田村憲久厚生労働相も、「現内閣が弱い立場の人に厳しいイメージになるのは避けたい」としているという。

 しかし、現実は、厳しい。国民が医療に使った費用は2011年度、約38兆円にも達している。団塊世代が75歳以上になる25年度は50兆円を超す見通しだ。ということは、医療費負担が税収を超え、さらに国債(借金)を差し引いた単年度の国家予算を超えてしまうことになる。

 医療費負担で、財政破綻することも考えられるわけだ。

  今後、膨らむばかりの医療費をどうやりくりするか。とりあえずは、70~74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げる案が出ているが、これを安倍内閣は2014年に延ばす方向という。そればかりか、7月の参院選を見据え、世論の反発を恐れるあまり、国民負担の実施の多くはみなを先送りされるという。

  そこで、現在の医療費をめぐる動きをまとめると以下のようになる。

・物価上昇2%(インフレターゲットの導入、早くて1年後)
・消費税10%へ(2014年4月に8%、15年10月に10%)
・高齢者医療費負担1割から2割へ(2014年以降に先送り)

 先送りすればするほど負担が増えるのは確実。今後の負担増をいまから覚悟して、なんらかの手を打っておくしかない。