09/11/01■「開業医の月収208万円、勤務医の1.7倍」と発表。今後のどう改善されるのか? 診療報酬はどうなるのか? 印刷
 厚生労働省は10月30日、2009年6月時点の医療経済実態調査結果を中央社会保険医療協議会(中医協)に提示した。開業医の平均月収は208万2000円で、前回2007年6月時点の208万6000円から0.2%低下。病院勤務医は123万2000円で前回117万9000円から4.5%上昇したが、開業医と勤務医ではなお約1.7倍の格差があった。

 この発表を受けて。今後、中医協では、診療報酬の改定を向けての議論が進んでいくが、はたしてどうなるのか? 私の周囲の医療関係者の声を聞くと、「はたしてうまく行くのか」「なんか覚束ない」「民主党は乱暴すぎる」「長妻厚労相ではダメだ」と、かなり手厳しい。

 民主党新政権は「病院勤務医の処遇改善」を政策の1つの柱として掲げてきた。「開業医を多く抱える日本医師会(日医)が強い発言力を持ち、自らに有利な価格設定をしている」と、中医協からの日医排除を図った。
 その結果、日医の代表委員3人は全員外されることになり、7人の診療側委員のうち、病院出身者は3人と過去最多になった。この中医協の委員入れ替えは、民主党の政策からいって当然ではあるが、乱暴すぎるとの声も強いのだ。
 いずれにせよ、今後の焦点は、それで政策実現ができるかどうかである。

 当面の課題は、開業医710円、中小病院600円という、2回目以降の診察にかかる再診料の価格である。民主党は、勤務医に不利なこの価格を見直し、待遇の改善を目指していくことになろう。
 これまでの自民党政権は、2002年以降、診療報酬全体を4回連続で減額してきている。したがって、「増額」を公約している民主党政権になった以上、2010年度改定はプラスとなるのは間違いない。
 しかし、医療費が財政を圧迫し続ける現実から背を向けることは許されない。

 民主党の医療政策を実現するには、診療報酬本体の5%(国庫負担約4300億円)アップを要するとの見方がある。しかし、それは国民の窓口負担に大きくはね返る。これ以上の負担を、はたして国民が許してくれるかどうか、極めて難しいと思われる。そのため、増加幅を3%程度に抑え、一部財源を医療機関への補助金に回す案も浮上している。
 しかし、これでは、間を取っただけで、
 いずれにしても、診療報酬の伸びをいかに抑えていくかが鍵だ。単に、診療報酬を増額していくだけなら誰にでもできる。