09/12/01●病院倒産過去最悪ペース。すでに去年の倍の56件も! 印刷
 病院の倒産が急増している。今年1~10月の累計ですでに56件と、昨年同時期 (28件)の倍。なんと、2000年以降で最多だった2007年の52件(年間)を上回り、過去最悪ペースとなっている。(商工リサーチ調べ)

原因は、業績不振が25件ともっとも多い。倒産件数が激増した理由は、いろいろあるが、やはり、不況で外来患者が減ったことが大きい。ちょっとした風邪では、いまは病院に行く人は少ないのだ。 

 医療崩壊と言われて久しいが、驚くのは、比較的堅調とされてきた歯科医ですら、倒産が増えていることだ。すでに昨年同期比7割の17件に達している。これは、開業スペースが小さくて済むため、大都市圏で乱立してしまい、競争激化で倒れた結果だという。

 

 病院倒産の原因として医療関係者が挙げるのが、「小泉改革の負の遺産」、つまり、結局は診療報酬の引き下げになってしまった医療制度改革である。 今年4月には、大手総合病院の「平野同仁会」(岡山)が民事再生法の適用を申請。負債総額は医療業界では今年最大となる59億円だった。 5月には、診療所経営「きのだ会」(大阪、負債総額21億円)、人間ドックが中心の「社団アース」(東京、同7億円)がそれぞれ破産を申請している。

 この2件に共通しているのが、診療報酬急減による資金繰りの悪化だ。

 

なお、倒産件数のデータに表れるのは、民間病院だけである。公立の場合は、「統廃合」となるので、倒産とは言わない。地方では公立病院の半数以上が赤字である。したがって、医療崩壊はものすごい勢いで進んでいる。

 民主党はマニフェストに、「後期高齢者医療制度の廃止や医療崩壊に歯止めをかける」ことを盛り込んでいる。しかし、その実行には時間がかかる。となると、その分、さらに倒産病院は増えるだろう。とくに、地方の医療機関は経営難に喘いでいるので、今後、医療崩壊は地方から進んでいくことになる。