10/06/01●民主党の医療行政の方向がまったく見えない 印刷

 医療版「事故調査委員会」案をめぐっては、民主党政権になってからはいっこうに話が進んでいない。最近の報道を見ても、厚労省内もまとまっておらず、今後、どのように進んで行くのか不明だ。事故調査医院会は、2007年に厚労省の原案が出され、2008年には自民党政権下で制定に向けての動きが始まったが、2009年に政権が自民党から民主党に交代した後は動きが止まった。というのも、民主党のマニフェストでは、「事故調査委員会はまず院内に設置する」ということがうたわれていたからだ。
 院内というのは、すなわち病院内ということで、この院内の調査委員会でうまくいかなかったときは、院外事故調やADR(裁判外紛争解決精度)で解決するというのが、民主党の考え方だ。
 この件に関して、私は何度も批判してきたが、これほど恐ろしいほどお人好しと言うか、きれいごとと言うか、あるいは社会経験のない幼稚な考えと言うか、そういう考え方はあり得ない。
 もし、こんなことになったら、医療事故はすべて闇に葬り去られてしまうからだ。
 現在伝え聞くところによれば、厚労省の担当者の中には「民主党案に基づいて進めなければ」との声もあるが、事務方の作業は進んでおらず、反対意見も根強いという。当然だろう。