09/09/14■オバマ大統領が医療改革の訴え!ひるがえって日本は? 印刷

 9月14日、オバマ大統領は、医療保険改革の必要性について、議会で訴えた。「すべての国民に手ごろな医療保険を提供する」というのは、彼の最大の公約だが、その是非をめぐって国内世論は2分し、いまアメリカでは与野党が激しく対立している。改革が失敗すれば、オバマ政権への求心力は低下するのは間違いない。アメリカの歴代政権は、これまで医療改革にはことごとく失敗してきた。

  アメリカには、日本のような国民皆保険制度がない。公的保険は高齢者や低所得者向けのものなどに限られ、国民の約3分の2は民間の医療保険に入っているが、15%にあたる約4700万人は無保険者になっている。

  私は、こうしたアメリカの状況を見るたびに、日本の国民皆保険は悪い点も多いが、基本的にはいい制度だと思ってきた。ただ、年々増加する医療費を考えると、支えきれない限界にきているのは確かだ。民主党は、「国民皆年金、国民皆保険を守る」と公約で掲げてきた。「後期高齢者医療制度・関連法は廃止し、医療制度を一元化する」と言ってきた。しかし、やはり財源をどうするのか?という難問が残る。

  現在、患者さんの立場から言えば、「保険料を支払う代わりに、少ない自己負担(だいたいは3割)で診療を受けられる」という医療制度は、いざ病気になったときは本当に助かる制度である。

  ただし、これだけなら、民間でもできる。ただ、民間がやると、利益を上げなければならないから、保険に付きもののリスクを計算し、医療費のかからない健康な人を優遇することになる。つまり、健康な人は安い保険料、病気がちの人は高い保険料を払うことになる。となると、国民の健康の維持は、本人の健康状態がどうであれ、所得で決まる。これが市場原理で、アメリカはそのなかで医療制度を運営してきた。とりあえず、民主党は、アメリカ型の医療制度の悪い点だけは導入することはない。