09/06/05■過酷な勤務が続き、産科女医の就労継続困難に 印刷

 日本産科婦人科学会はこのほど、「産婦人科勤務医・在院時間調査」の最終報告書を公表し、病院産婦人科の厳しい勤務環境は、特に結婚・出産などを経た40歳以上の女性医師の継続的就労を困難にしている可能性があると指摘した。

  調査は、同学会の「卒後研修指導施設」となっている750病院などが対象。医師らの1か月間の全出勤日の出退勤記録などを回収し、データを勤務施設別、年齢別、男女別などに分類した上で、在院時間やオンコール時間などを分析した。

  それによると、女性医師の出産・子育て要因が考えられる30歳代を除くと、男性医師と女性医師で在院時間に大きな差は認められないとしながらも、データを 回収した40歳以上の女性医師数は一般病院と大学病院を合わせて38人。これは、男性医師数256人に比べて非常に少ない。

「これは調査への協力者が少な かった可能性もあるが、むしろ、実際に病院に勤務しているこの年齢層の女性医師が少ないためと考えられる」とし、現状の病院産婦人科の勤務環境は、家族のいる40歳以上の女性医師が継続的な就労をするには条件が厳し過ぎる可能性があると指摘している。


 産婦人科医の女性が減ったことは、最近の著しい傾向。女性医師は、いったん自分でも出産し子育てに入ると、ほとんど病院に戻ってこない。それは、勤務状況が、子育てと両立できるような状況にないからだ。

 日本ではこうして、優秀な産婦人科医の女医が社会からどんどん失われている。これは、少子化が進むことも原因だが、このへんでなんとかしないと、少子化は止まらないだろう。