09/08/18■進む若手離れ…外科医「崩壊前夜」 印刷

 産経新聞が、厚生労働省の調査にもとづき、「外科医離れが進んでいる」という記事を掲載している。記事は、「じわじわ減少産科や小児科の医師不足が叫ばれて久しいが、ここ数年、“花形”ともいえる外科医の減少が目立っている。長時間に及ぶ手術や当直など勤務状況が過酷であるにもかかわらず、報酬はそれに見合わないことなどを嫌い、若い医師の外科離れが進んでいるという」と書いているが、まさにそのとおりである。

 こうした状況を懸念した医療関係者は、NPO法人「日本 から外科医がいなくなることを憂い行動する会」を発足させた。外科医を増やすための情報発信や待遇の改善を国に訴えていくという。

 厚生労働省の調査調査によると、平成18年までの10年で医師総数は約15%増え26万3540人。一方、外科系(外科、心血管外科、呼吸器外科、小児外科)は約8%減の 2万6075人。これまで医師不足が指摘されてきた産婦人科(産科、婦人科を含む)の約6%減よりも減少幅が大きい。一方、小児科は約10%増えているものの医師不足は深刻。産科と小児科の「医療崩壊」の裏で、外科医の減少もどんどん進行していたのである

 いま、医学部の学生で、「将来、外科医になりたい」という者は少ない。その理由を聞くと、「血を見るのがイヤ」「手術が面倒」「医療事故のリスクが高い」「労働時間が長いなど、医者を目指す者としては考えられない答が返ってくるので、私はあきれている。この傾向は、近年、特に強まっている。

 外科医の大多数が加入するのが、日本外科学会。ここの新規会員数は、なんと20年以上も前の1985年以降減少傾向にある。2008年の新規会員は、前年に比べ78人少ない832人。

 最近、私が著名な外科医から聞くのは、「後継者がいない」「このままだと、日本の将来の医療は崩壊する」ということばかりだ。