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[これが医者の世界]学閥、給料、待遇から見たセンセイたち
[これが医者の世界]学閥、給料、待遇から見たセンセイたち - 試験合格のためのネットワーク PDF 印刷 Eメール
記事索引
[これが医者の世界]学閥、給料、待遇から見たセンセイたち
最近の医者のぼやきエピソード
病院経営は「負のスパイラル」状態
「謝礼」を強要されたうえ手術ミス
患者より賄賂によって薬選び
粗製乱造で医者の質がどんどん低下
試験合格のためのネットワーク
血を見ると失神してしまう学生
出身校とキャリアで決まる序列
  電子化によっても不正はなくならない
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 世間ではあまり知られていないが、医師国家試験用の予備校というのがある。国家試験落第生を集め、年間授業料200万円ぐらいをとって、翌年の受験対策を専門に講義する学校だ。普通に医学部を出て24歳だから、通っているのは学生とはいえ立派な大人である。すでに友人たちは社会に出ていることを思うと、彼らはかなりの落ちこぼれであるから、ミジメな気持ちでいるはずと、誰もが思う。

 ところが、彼らはものすごく明るい。だいたいが医者の息子たちで、親からタップリと援助を受け、生活には困らない。しかも、これらの予備校に通うと翌年にはほとんど合格してしまうのだ。

 このへんのカラクリをズバリと書くことはできない。ただ、国家試験の問題というのは、いろいろな大学の教授が持ち回りで作成するので、今年は誰々となれば、そこの大学の学生は有利になる。授業中それとなく、出そうな問題をもらす教授がほとんどだからだ。

 こうした情報は、驚くほど早く伝わる。私が昔聞いた話では、そういう教授に直接賄賂を贈って、息子の合格のために問題を聞き出した医者もいるからだ。その謝礼の額は確か数千万円であったが、現在では個人でこんなことをする人間はいない。合格率のアップはもっと組織的に行われているといっていい。

これは歯科医師国家試験の例だが、2001年正月に、奥羽大学を舞台にした試験問題漏えいが発覚、教授が逮捕されるという事件があった。この報道の過程で、私が驚いたのは次のような話である。

 朝日新聞の報道によると、国家試験の前日に各大学の受験生は同じホテルに泊まり込み、コピーサービスを受けたのだという。もちろん、コピーには出そうな問題や情報がプリントされ、その数100枚を超える。このコピーを配るのは、その大学の試験対策委員という学生代表で、彼らは6年生の秋から冬にかけて大手予備校や他校と情報交換し、当日はホテルでファックスを使い情報をやりしたという。

 こんなネットワークがあれば、すべては筒抜けである。これで落ちる学生は、よほど頭が悪いといわなければならない。奥羽大の場合は、この試験対策委員の学生が使っていたノートパソコンが警察に押収され、事件が解明されたようだ。もちろんデータは消されていたのだが、専門家により修復されたという。

 ともかく、現代の学生たちはこうして医者になる。つまり、この世には医者になれるわけのない医者があふれてしまっている。


 
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