誰もが悩む渡し方と相場
誰もが悩む渡し方と相場 - 謝礼を受け取らない医者はほぼいない |
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ページ 2 の 9 私は、医者への「現金謝礼」の根底には、患者側の医者への抜きがたい不信感があると思っている。「そんな必要はない」と言っても、「それは建て前でしょう」と言う患者ほど、この不信感は根強い。それで、なぜそう考えるのかと聞いてみると、返ってくる答えは、たいてい同じだ。 「先生、そうは言っても、ちゃんと『謝礼』をしておかないとどうされるかわからないではないですか。ものには、筋というものがあるでしょう。筋を通しておかないと困るんです。それがわかるお医者さんなら、ちゃんと便宜をはかってくれるはずですから」 とくに生命にかかわることとなると、この気持ちは強くなる。つまり、「多少のルール違反を犯してもほかの人より早く診察してもらい、より速やかに治してもらいたい。健康はないよりも代え難い。そのためには『謝礼』が有効ならば無理もする」となるのだ。 私は、患者側のこうした気持ちを否定できない。それが、人情というものだろう。こうして、謝礼はどんどんエスカレートし、もしも入院や手術が必要となれば、主治医だけでなく、執刀医や麻酔科の医師、看護婦や医事課の人にも、なんらかの謝礼が支払われることになる。 では、医者側はこうした患者の気持ちをわかっているかと言えば、もちろん、イエスだ。さらに、では、医者はこうした謝礼を受け取るかと言えば、ほぼイエスだ。 私の知る限り、差し出された謝礼を受け取らない医者はほぼいない。 また、病院ぐるみで、患者に謝礼をおねだりするようなところもある。たとえば、紹介者に「入院したら、ベテランの看護婦の○○さんに相談にのってもらいなさい」と言われたある家族は、手術前にその○○さんから、こう言われた。 「入院中はなんの心配もいりませんよ。私たちがお世話しますから。ただ、手術前に先生方に挨拶しますので、ご用意していますよね?看護婦たちへは手術後でもいいですが、執刀してくださる部長先生には10万円、手術前にお渡したほうがいいですよ」 このような話は、よく聞く。 ただし、ここで問題なのは、いくら謝礼をしたからといって、手術がうまくいくとはかぎらないことだ。 手術は、単に医者の腕で決まるからである。 |