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Doctor's Eye(私の視点・報告&医療ニュース)

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10/09/05●現在、息子と私たち家族の医療訴訟ドキュメントを執筆中 PDF 印刷 Eメール

 この7月15日、東京高裁が私たち親子の請求を棄却して以来、私は、今回の医療訴訟の記録をまとめ、本にしようと執筆を開始した。この本は、2006年3月半ばごろ、左腕や両足に時おり痺れを感じるようになった私の息子・慎太郎の闘病記録であるとともに、私自身の医療過誤告発の記録にするつもりだ。

 いま思えば、息子が初期症状を訴えたときに、もっと早く動いていればと、本当に悔やんでいる。なぜ、私は薄々「危ない」と予感しながら、母校の慈恵医大で脳血管造影検査を受けさせてしまったのか。あの判断ミスさえしなければ、検査中に息子が脳梗塞の発作を起こし、以後、その後遺症から障害者となることもなかっただろう。
 当時、息子は21歳の学生であり、青山学院大学アメリカンフットボールの選手だったが、検査から戻ったときには、まるで別人だった。密室の中で。いったい何があったのか? 息子を検査した母校の医師たちは、果たして適切な判断と処置をしたのか? 親なら誰でもそれを知りたいはずである。

 皮肉なことに、医療過誤事件をテーマに論説や本を書いていてきた私が、この瞬間から、医療過誤の当事者となってしまった。その後、私はカルテなどの証拠保全を申請し、息子の「事故」から1年後には刑事告訴に踏み切った。しかし、これが受理されなかったために民事に切り替え、東京地裁、高裁と2度の裁判を闘った。そうして今年の7月に出た東京高裁の判決は「請求棄却」であった。

 この本のなかで、私は私事を超えて、いまのこの国の医療が直面している問題にも数多く言及した。そうしなければ、今回の私たち家族の闘いは理解してもらえないと思ったからだ。本の執筆はもうそろそろ終わる。出版は年内にできると思うが、ぜひ、多くの方に読んでもらいたいと思っている。

 
10/09/03●岐阜県警が医療過誤訴訟の証拠品なくしていたことが発覚 PDF 印刷 Eメール
 2005年(平成17年)に岐阜県羽島市の病院でカテーテル交換手術を受けて死亡した女性の死因をめぐり、岐阜羽島署が担当医を業務上過失致死容疑で捜査した際、証拠品として提出を受けたカテーテルを紛失したことが3日、わかった。各紙の報道によると、女性の遺族は2008年に病院を損害賠償を求めて提訴。地裁を通じ今年7月、カテーテル提出を署に求めたが「書面上は署に保管された状態だが所在が判明しない」などと書面で回答があったという。
 岐阜県警は、捜査の結果、事件性はないと判断、証拠品を返却したが、カテーテルは返却の記録がなかったとしている。それで、紛失したとの回答をしたようだ。岐阜羽島署は「今後こういうことがないよう指導を徹底する」とコメントしているが、本当に紛失してしまったかどうかは闇の中だ。
 この事件の背景には、最近の医療訴訟に対する風潮がある。それは、警察がほとんど立件しなくなったことでわかるように、この手の問題に極力関わらないようにしているということだ。医療訴訟は、現在、ますます専門的になったこともあり、警察・検察はよほどの事件性が認められないと立件しない。
 
10/07/17●慈恵医大病院を提訴した私と息子の請求を東京高裁が「棄却」 PDF 印刷 Eメール
一昨日、7月15日、東京高裁は私たち親子の請求を棄却し、これで私は母校の医師を訴えた裁判で2度とも敗訴することになった。前回の地裁で争った第1審に、今回は「説明義務違反」という新主張をつけ加えたが、結局、これもまったく認められなかった。
 息子が脳梗塞を発症することになった検査の前日、2006年5月18日のインフォームドコンセントで、慈恵医大側は重要なことを言わなかったと主張したが、聞き入れられなかった。裁判所は、医者の裁量権の範囲を拡大解釈しすぎているとしか思えない。
 この件については、いずれ本にするつもりなので、ここでは書かないが、敗訴してみてわかったのは、医療過誤裁判の予想以上に厚い壁だった。そして、それ以上にあの忌まわしい「事故」から4年以上の歳月を無駄にしてしまったことが悔やまれた。
 東京高裁での棄却が決まった際に、私のもとにはいくつかのメールが寄せられた。「気を落とさずに」「さぞかし無念だったでしょう」などと書かれたなかで、あるメールにはこんなことが書かれていた。
「残念です。しかし、遠目で見ていた医師たちは富家先生側が正しいということをうっすらと噂していました。いずれ、A医師は同じような失敗を繰り返すでしょう。神様はちゃんと見ていると信じています」
 いまの私にとっては、これに勝る励ましの言葉はない。
 
10/07/05●医療版「事故調査員会」迷走の問題点を整理すれば PDF 印刷 Eメール

厚生労働省が創設を目指す医療版事故調査委員会のあり方をめぐり、議論が迷走している。このままでは「医療事故の真相究明と再発防止を図る」という役割が期待できないし、医師が刑事事件を逃れるための隠れみのとなってしまう恐れが強い。

 そこで、この議論迷走の原因を探り、問題点を整理しておきたい。

 厚労省の設置法案では、届け出を受けた医療事故のうち、(1)カルテ改ざん (2)事故を繰り返す (3)故意や重大過失――については警察に通知する。当然だと思うが、昨年9月に法案の大綱案が出された時、日本救急医学会や民主党の一部議員からは「警察の介入を招く」、医師の一部からは「医師の行為を業務上過失致死罪に問うのはおかしい」などの反発が起きた。
 確かに、患者を救うためリスクのある治療に挑む医師が指弾されるようでは困る。しかしこうした人たちの主張は、設置法案どころか刑法の規定に正面から異を唱え、自分たちの行為の一切を刑事責任追及の聖域に置くという驚くべきものだ。この理屈が通れば、「技量が劣る医師が手術中に誤って頸動脈を切ってしまった」「素人同然の医師が専門医に相談や応援を頼まず手術を断行し、患者を死なせた」というケースは、刑事面ではおとがめなしということになる。

 刑事免責を求める主張は、医師が自らを特別視している現れであろう。司法人口拡大に対し、一部弁護士が「過当競争を招き、生活できない者が出る」との理由で反対しているが、同じような誤った特権意識を感じる。あらかじめ全員に成功が約束された職業があるはずはなく、刑事免責を約束された職業もあるはずがない。
 医療事故に対して「謝罪なし」「隠ぺい・改ざん」を押し通してきた事例を、私は数多く見てきた。医療はサービス業である。顧客の期待に応えられないレベルの医師が一定程度いて、そうした医師に当たると死亡することもある、というのでは何のための医師免許なのか分からないではないか。
 最近では、「医師が萎縮する」「なり手が減る」などと、医療事故の追及が医療崩壊につながるかのような議論も見受けられる。医療政策の誤り、劣悪な労働環境、病院経営者の無策などが主因の医療崩壊と、未熟な医師が患者を死なせる医療事故とはまったく別問題である。医療を人質に取るかのような論法は理解されないだろう。
 警察当局は「医療界が医療事故と真摯に向き合うという前提で制度に協力する」姿勢と聞く。事故調が刑事免責のための組織となって医師を特別視する風潮が強まれば、今以上に医療事故は増えるだろう。遺族も事故調に期待しなくなる。

 
10/06/01●民主党の医療行政の方向がまったく見えない PDF 印刷

 医療版「事故調査委員会」案をめぐっては、民主党政権になってからはいっこうに話が進んでいない。最近の報道を見ても、厚労省内もまとまっておらず、今後、どのように進んで行くのか不明だ。事故調査医院会は、2007年に厚労省の原案が出され、2008年には自民党政権下で制定に向けての動きが始まったが、2009年に政権が自民党から民主党に交代した後は動きが止まった。というのも、民主党のマニフェストでは、「事故調査委員会はまず院内に設置する」ということがうたわれていたからだ。
 院内というのは、すなわち病院内ということで、この院内の調査委員会でうまくいかなかったときは、院外事故調やADR(裁判外紛争解決精度)で解決するというのが、民主党の考え方だ。
 この件に関して、私は何度も批判してきたが、これほど恐ろしいほどお人好しと言うか、きれいごとと言うか、あるいは社会経験のない幼稚な考えと言うか、そういう考え方はあり得ない。
 もし、こんなことになったら、医療事故はすべて闇に葬り去られてしまうからだ。
 現在伝え聞くところによれば、厚労省の担当者の中には「民主党案に基づいて進めなければ」との声もあるが、事務方の作業は進んでおらず、反対意見も根強いという。当然だろう。

 
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