Welcome to Doctor Fuke’s Official Website

このサイトは、医師・ジャーナリストである富家孝の公式ウェブサイトです。
富家孝の活動を知っていただき、みなさんと一緒にいまの日本の「医療」を考えます。

富家孝の連載Blog「これでいいのか日本の医療」

 医師・ジャーナリストという私の視点を通して、最新の医療ニュースを伝えるとともに、自身の活動の報告をしています。

  【ご案内】ラ・クイリマ

    富家孝が医師の目線で医師の転職をサポートします。

     厚生労働省許可番号 13--305517

     ここから→http://www.la-kuilima.com

 

   【お願い】

     よくお問い合わせいただくのですが、医療法人社団富家会 富家病院(埼玉)、

     富家千葉病院は、富家孝とは関係がありません。お間違いないようにお願いいたします。 



24/02/28●75歳前に亡くなる有名人が多いのは、なぜか? 「75歳の壁」を来月、連載へ。

「先生、最近、75歳前に早死にする有名人が多いと思います。なにか理由でも?」と、最近、よく聞かれます。そう言われて、昨年来の物故者を調べると、たしかに多いのです。

 最近では、八代亜紀さん(歌手、73歳、膠原病・促進間質性肺炎)が亡くなられました。以下、昨年から今年にかけて、75歳を待たずに亡くなられた主な有名人のリストです。

 

 坂本龍一さん(ミュージシャン、享年71歳 直腸がん・肺転移)、谷村新司さん(ミュージシャン、享年74歳 急性腸炎)、伊集院静さん(作家、享年73歳 肝内胆管がん)、門田博光さん(元プロ野球選手、享年74歳 糖尿病・脳梗塞)、大橋純子さん(歌手、享年73歳 食道がん)、もんたよしのりさん(ミュージシャン、享年72歳 大動脈解離)、北別府学さん(元プロ野球選、享年65歳 成人T細胞白血病)寺尾常史さん(元寺尾、享年60歳 うっ血性心不全)長岡末広さん(元朝潮、享年67歳 小腸がん)、KANさん(歌手、享年61歳、メッケル憩室がん)

 

 「人生100年時代」と言われるいま、75歳前に逝くのはいかにも早すぎます。

 日本人の平均寿命、男性81.05歳、女性87.09歳から言っても「早死」でしょう。

 しかし、「健康寿命」は男性72.68歳、女性が75.38歳です。平均寿命と健康寿命の差は大きく、健康寿命で志望者が大きく増えるのが、統計にも現れています。

 つまり、75歳前後に、死に至る大きな壁があるのです。いわゆる「75歳(後期高齢者)の壁」です。この壁をどう乗り越えるかは、それ以前の生き方で決まります。このことを、来月、「夕刊フジ」で連載します。

 
24/01/10●拙著『それでもあなたは長生きしたいですか』(ベストブック刊)が1月15日に発売されます

これまで色々な媒体に書いてきた死をめぐる問題、を1冊の本にまとめました。サブタイトルは、「終末期治療の真実を語ろう」となっていますが、内容は、それだけでなく多岐にわたっています。

 がん、心疾患、糖尿病、認知症------死に至る病についての対処法はもちろん、どのように健康で長生きするかについても余すところなく書きました。

 

■ベストブック社にウエブ↓

http://www.bestbookweb.com/book.php?num=900

 以下、「目次」と「はじめに」を公開します。

 ----------------------------------------------------------------------

 《目次》

[Part1] 長生きは幸せか?

1、「人生100年時代」の裏でメディアが取り上げない「百寿者」の現実とは? 

2、健康でなければ長生きは苦痛。80歳まで生きられればいいと考えている人が大半

3、長寿の不都合な真実。長生きすればするほど「貧困地獄」に落ちる

4、長生き老人を食い物にする、ぐるぐる病院、ブラック病院

5、現代の「姥捨山」か? 終末期に入る「療養型病院」の現実

6、「看取り」とはなにか?「終末期治療」(ターミナルケア)との違いは?

7、「緩和ケア」を受けたくとも受けられないという現実 

8、この日本で、究極の選択「安楽死」は可能か?

 

[Part2] 悔いのない死に方

9、「65歳」「75歳」「85歳」--- 長寿を阻む10年ごとの「壁」とは?

10、狭心症の手術を3度体験して思う、心疾患による突然死は防げる

11、「65歳の壁」で「フレイル」を感じたら始めるべきこと

12、体力がガクッと落ちる「75歳の壁」で留意すべきこと

13、「85歳の壁」超えの最大の問題は認知症。認知症は防げないのか?

14、体を動かしてもいいが鍛えてはいけない。鍛えても長生きはできない。

15、誰もが願う「苦しまないで死ぬ」ことは可能か?

16、「寝たきり」にならないためにできることとは?

17、長寿を左右するのは「実年齢」より「主観年齢」 

 

[Part3] 有名人の死に思う

18、哀悼!「燃える闘魂」。アントニオ猪木さんの壮絶死

19、高嶋忠夫さんの在宅死で思う。家族と地域の支えなくしては「願い」はかなわない

20、大橋巨泉さんのがん死が浮き彫りにした「在宅緩和ケア」の問題点

21、末期ガンの手術より“最後の時間”を選んだ愛川欽也さん

22、なぜすぐ手術をしなかったのか?小林麻央さんの選択

23、渡辺裕之さん、上島竜兵さんはなぜ自殺を?高齢者ほど自殺率が高く「うつ」になりがち

24、「がん放置療法」近藤誠氏の死去に思う、“異端”でも患者に選択肢を与えた功績は大きい

25、61歳で敗血症、あまりに早い渡辺徹さんの死が物語るのもの

 

[Part4]「孤独死」しないために

26、2040年、高齢者の10人に4人が「独居老人」に! 

27、誰とも繋がらず社会孤独死した場合、どうなるのか?

28、有名人が続々と孤独死、その死因を考えて思うこと 

29、病院で死ねない、「在宅孤独死」の時代がやって来た! 

30、「看取り難民」にならないためにすべきこととは? 

31、孤独死を無事に迎えるための「かかりつけ医」の選び方

32、「孤食」「貧食」「偏食」が死期を早め、孤独死を招く

 

[Part5] がんで死ぬ幸せ

33、前立腺がんと診断されて4年。私はなぜがんを放置しているのか?

34、がんで死ぬのは本当に幸せなのか?

35、手術の決め手は外科医。「神の手」外科医もいれば「下手」外科医もいる

36、「5年生存率」「10年生存率」からがんと診断されたらどうするかを考える

37、5大がん「大腸がん」「乳がん」「胃がん」「肺がん」「肝臓がん」の対処法

38、発見されたときは手遅れ。難治性がんの「膵臓がん」「胆嚢・胆道がん」どうする?

39、「もう手の施しようがありません」と余命宣告を受けたら、どうしたらいいか? 

40、無駄ながん検診、ほぼ無意味な75歳からのがん検診

41、日本でも始まった「がんゲノム医療」は夢の治療法なのか?

 

[Part6]糖尿病の不都合な真実

42、私も患者の1人、投薬、食事療法で生きている

43、糖尿病が治らない病気というのは本当か?

44、血糖値とはなにか? 基準値にはグレイゾーンがある

45、高血糖より怖い低血糖。即座に糖分補給を!

46、昔は「ぜいたく病」、いまは「貧困病」という不都合な真実

47、医療側から見た糖尿病。これほど儲かる病気はない

48、血管ボロボロ!糖尿病の本当の怖さは合併症にある!

49、血糖値を下げるクスリについて知っておくべきこと

50、糖尿病になりやすい人、なりにくい人

 

[Part7]安楽死は殺人なのか?

51、人工透析中止患者の死が問いかける「尊厳死」と「安楽死」

52、ASL患者の嘱託殺人事件から、「死ぬ権利」「安楽死」の容認を訴えたい

53、「殺人看護婦」1人の犯罪で終わらせていいのか? 現代の「姨捨山」と言える終末期治療の深い闇

54、現代の「姥捨山」、終末期に入る「療養型病院」の現実

 

[Part8]医療過誤を追及して

55、1年間に約8万人が医者に殺されている!

56、医者と患者は「嫁姑関係」、闘いは「異種格闘技」

57、示談がほとんど。しかし過誤が明らかなら告訴を!

58、どうやって病院と闘うか? 弁護士選びと訴訟の進め方

59、医者は平気でウソをつく。間違いは絶対認めない

60、死因を疑ったら病理解剖でなく司法解剖を求めよ!

61、なぜ医者だけが刑事責任を問われないのか?

62、医療過誤にあわないためにすべきこと

 

[Part9]認知症で死ぬということ

63、認知症患者はどう死んでいく? 安楽死は可能か?

64、認知症は老化の現れ? 進行は? 認知症を判定する有効な検査とは?

65、認知症のクスリはあるが、進行を遅らせる可能性があるだけ

66、最新の認知症薬は効くのか?認知症医療を変える「レカネマブ」とは?

67、人はなぜ老化するのか?長寿には限界がある

68、「長寿遺伝子」を探す旅。 腹八分は本当だった!

 

《はじめに》

   また一歩死に近づいた。75歳を超えて後期高齢者の仲間入りをしてから、私は日ごとにそう思うようになりました。    

 とくに、昨年(2022年)、コロナ禍のなかで、「突発性難聴」になり、10日間の入院生活を送ったときから、その思いが強まりました。

 突発性難聴というのは、その名のとおり急に耳が聞こえなくなる病気です。突発性が付く病気というのは、たいていの場合、原因がわからないということです。ただし、私の場合は、「糖尿病」を発症しているうえ、これまで3度も「狭心症」による心臓の手術を受けています。また、「前立腺がん」も患っています。

 つまり、老化が進んで、それがいろいろなかたちで身体に現れているのです。その一つが突発性難聴でした。原因がどうのこうのより、そう考えるのが自然です。

 

 入院中のベッドのなかで、「後期高齢者になるというのはこういうことなのか」「老化とはこういうことなのか」と、改めて思いました。そして、「あと何年生きられるだろうか」と、初めて大きな不安を感じました。

 それまで、病気になってもなんとかやり過ごしてきましたが、これからはそうはいかないかもしれないという不安がよぎったのです。

 別に私は、死を恐れているわけではありません。そのときが来たら、誰にも迷惑をかけず、自然に逝く覚悟はできています。ただ、自分の死がどのように訪れるかわからないことが不安なのです。

 

 医者になって半世紀、開業医、病院経営、医療コンサルタント、プロレスのリングドクター、大学の講師、医師派遣業、老人・介護施設の顧問兼アドバイザー、そして医療ジャーナリストと、さまざまな経験をしてきました。

 そんななかで、これまで数多くの死を間近に見てきました。死期が近い方、また、そのご家族からの相談も山ほど受けました。年間、100を超える死亡診断書を書いたこともありました。

 それで思うのは、人生がさまざまなように、死もまたさまざまであるということです。そして、そのさまざまな死のなかで、ご自身の望みどおりの死を迎えた人は少ないということです。

 

 私は代々続く医者の家に生まれ、きょうだいも医者になったため、医者に囲まれて育ちました。そのため、自然の流れとして医者になったのです。そのため、命を救うという強い使命感を持って医者になった方とは、考え方が違うかもしれません。ただ、これまで多くの死を見てきたので、私なりの死生観を持つようになりました。

 私の死生観に少なからず影響しているのは、やはり父の死に方です。息子の目から見た父は、歳をとっても元気で、毎日、訪れる患者さんの診察に追われていました。それが70歳のとき、ある日突然、突発性の大動脈解離を起こし、その日のうちに逝ってしまいました。いま思えば、これも老化の突然の現れだったと思います。

 死に方ということで言えば、父の死は、いま理想とされている「ピンピンコロリ」(病気に苦しむことなく、直前まで元気で楽しく生き、最後はコロリと死ぬ。最近は「PPK」とも呼ばれている)です。

 

 昔は、老人はほとんどが病気持ちでした。病気と老化は同じもので、持病を持たない老人は少なかったのです。老人と言えば、それはなんらかの持病を抱えた死期の近い人でした。

 しかし、いまは違います。人生100年と言われるようになり、高齢でも働き続ける元気な老人が増えています。ただし、それは目に見える範囲での話で、じつは施設や家庭には寝たきり老人も多いのです。その存在が見えないだけです。

 私はこれまで、終末期の延命治療がいかに人間の尊厳を損なうものか、つぶさに見てきました。寝たきり老人にとって、長生きほど残酷なことはありません。はっきり言って、自分の力で生きられなくなった人間にとっては、治療による長生きは無意味です。

 こうした思いから私は、延命治療だけはしてほしくないと願い、家族にもそう話してきました。父のように1回の発作で死ねればいいのですが、助かって寝たきりになるのはまっぴらごめんです。

 

 本書は、私がこれまでメディアに書いてきたコラム、エッセイを再編集したものと、新たに書き下ろしたものとで成っています。

 ここ数年、私が連載コラム、エッセイを書いてきたのは、『夕刊フジ』『月刊経済界』『ヨミドクター(読売新聞の医療・健康ニュースのウェブ)』などです。これらのコラム、エッセイのテーマのほとんどが、高齢者の「健康」「病気」「老化」「死」にまつわるものです。そんななかで、反響が大きかったのは「長生きは幸せか?」「幸せな死に方とはなにか?」というテーマで、病気では「がん」「心疾患」「糖尿病」「認知症」です。

 本書が、読者のみなさんが現在を生きていく参考になってくれることを切に願います。どうか、元気で長生きをしてほしいと思います。

 人は必ず死ぬのです。ただし、いまをどう生きるかで、その死は大きく異なります。

 
23/10/10●「正しく歩けば10歳は若返る」連載を開始(夕刊フジ)

今日(10月10)から1週間、夕刊フジで●「正しく歩けば10歳は若返る」という連載コラムを開始しました。

 すでに私は25年前に『若さの秘訣は歩き方にある』という本を出しています。当時は、まだ高齢社会の入り口で「ウォーキング」はそこまでブームではありませんでしたが、いまや高齢者の健康法の第一はウォーキングです。「老化は足から」というのは本当です。

 以下が、連載5回分の内容です。

1.老化は足から。人に抜かされるようになったら始めよう

2.ただ歩いてもダメ、走ってもダメ。ウォーキング1日1万歩は本当か?

3.「老人歩き」と「若者歩き」の違い。クセを直して正しい歩き方で若返る

4.こうすれば10歳は若返るウォーキングのルーティン

5.フレイルとロコモティブシンドローム、自己診断と改善法

 
23/09/15●100歳以上人口9.2万人で、53年連続増。女性が89%(厚労省発表)

 今年もまた「敬老の日」が来て、厚労省から100=百寿者(センテナリアン)について発表があった。

 それによると、全国の100歳以上の高齢者は92139人に上り、53年連続で過去最多を更新。住民基本台帳に基づく同日時点の集計では、昨年より1613人多く、女性が81589人と全体の89%を占めた。
 100歳以上の高齢者は、統計を取り始めた1963年は153人だったが、1981年に1000人、1998年に1万人を突破し、2012年には5万人を超えた。

 人口10万人当たりの100歳以上の割合は73.34人。都道府県別では、島根が155.17人で11年連続最多となり、高知(146.01人)、鳥取(126.29人)と続いた。最少は34年連続となる埼玉(44.79人)で、愛知(47.69人)、千葉(50.22人)の順だった。
 国内最高齢は女性が116歳の巽フサさん(大阪府柏原市)。男性は111歳の薗部儀三郎さん(千葉県館山市)。

  なお、毎年、同じことを述べて来たが、長寿は手放しで喜ぶべきものではない。なぜなら、100歳以上で健康に暮らしている人はほとんどおらず、多くは介護なしではいきらず、また、認知症である。

 ただし、メディアは元気なセンテナリアンしか取り上げない。

 
23/08/24●アルツハイマー病 新薬「レカネマブ」ついに承認。早ければ年内にも使用へ

 待ちに待った認知症新薬の「レカネマブ」(製品名:レケンビ)が、ついに承認された。エーザイと米バイオジェンが共同開発したもので、21日、厚生労働省の専門部会で承認が決定した。これにより、アメリカに続き、日本でも年内に実用化される見通しになった。

 アルツハイマー病を発症した人の脳では、「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質の蓄積が見られ、これにより神経細胞が壊れ、脳が萎縮し、その結果、脳の働きが低下すると考えられている。「レカネマブ」は、この「アミロイドβ」を取り除くことで、症状の進行を抑えるというもの。ただし、治験での効果は27%だ。2週に1回の点滴投与で、薬価も高い。一部に「これで認知症が治る」という誤解があるが、認知症は老化現象の一つなので、治せるものではない。ただ、こうした薬ができたことは画期的だ。

  

 
23/07/20●それにしても「猛暑」。医療にも負担「弱者が犠牲に」とWHOが警告。

すでに、「記録的な」とか「前例はない」とかいう言葉聞き飽きたというほど、今年の夏の猛暑は凄まじいものがあります。いまや、連日35℃超えの「猛暑日」続きです。

 

 熱中症患者が続出し、医療機関も休む暇がありません。

 そんな中、WHO(世界保健機関)が警告を出しました。

 【ジュネーブAFP時事】

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は19日、北半球を覆う猛烈な暑さで、持病の悪化など「健康医療制度に掛かる負担が増す」と警鐘を鳴らした。また、弱い立場の人々が最も悪影響を被っているとして、対策の必要性を訴えた。

 テドロス氏は記者会見で「極端な暑さの最大の犠牲者は、高齢者や子供、貧困層やホームレスなど、最も備えができていない人々だ」と指摘。「過度な暑さにさらされると、健康に広範囲の影響が及ぶ。持病の悪化や早死に、障害をもたらすこともある」と強調した。世界気象機関(WMO)と連携し、各国による対策整備を支援しているとも明らかにした。

 
23/04/28●新型コロナ「5類」移行決定。療養期間5日に短縮

新型コロナの感染症法上の位置づけについて厚生労働省は427日、専門家による部会で現在の感染状況や変異株の状況などを踏まえ、58日に「5類」へ移行することを最終決定した。「5類」は、季節性インフルエンザなどと同じ扱い。5類への移行後、検査は医療機関で行う場合も検査キットを使用する場合でも自己負担で行うことになる。

 また、移行後は。患者に行政による外出自粛要請などの措置が取られなくなる一方、感染者の療養期間について、現在は7日間となっている目安を5日間に短縮される。

 
23/02/15●夕刊フジに『年齢壁「65歳」「75歳」「85歳」----どうすれば「壁」を乗り越えられるか?』を連載

私は昨年、75歳を迎え、後期高齢者の仲間入りをしましたが、それとともに思ったのは、これまでの人生を振り返ると、ほぼ10年ごとに大病をしてきたことです。

 そこで、自身の経験を含めて、「65歳」で高齢者の仲間入りをしたら、年齢ごとに訪れる「年齢壁」に十分に気をつけてほしいということで、今回の連載をはじめました。

 「65歳」の次は「75歳」(後期高齢者)、「85歳」というふうに、「年齢壁」がやってきます。これを乗り越えれば、寿命は伸びます。最近は、和田秀樹氏のベストセラー「80歳の壁」が注目されていますが、健康寿命を考えると、男性が72.68歳、女性が75.38歳なので、やはり「75歳」が一つの大きな壁でしょう。

 現在、65歳以上人口は3640万人(総人口の29.1%)、

75歳以上人口は1871万人(同14.9%)、85歳以上人口は618万人(同4.9%)です。

 現在、私がいちばん注意しているのは「脱水」です。そのため、水を飲むことをいちばん気にかけています。血管が問題を起こすのは心臓と脳です。いずれも、水分は十分に必要です。

 
22/11/03●夕刊フジに「健康長寿のための未病対策」を連載。病気になってから医者にかかる時代は終わった!

最近、「未病」という言葉が広く使われるようになっています。ひと言で言うと「病気未満」です。要するに病気になる前に治してしまおうという考え方です。

 このような考え方ができるように背景には、ゲノム解析などによる遺伝子治療、バイオテクノロジーに基づく次世代医療技術、それらを支えるAIIT技術などの目覚ましい進展があります。それによって、病気の前兆を捉える検査方法が進歩し、ヒトの健康状態をデジタルで捉えられるようになったからです。

 

 こうなると、医者のあり方、医療のあり方も変わります。

 かつては、病気なってから医者にかかったので、医者の仕事は「治療」が中心でした。それに加えて、日頃から病気にかからないようにする「予防」がありました。しかし、これからは「予防」と「未病」が中心になります。病気になってから医者にかかる時代は終わったのです。

 

 このような観点から、「糖尿病」「心疾患」「がん」について未病対策のポイントをまとめ、「夕刊フジ」に連載しました。

 

  11月2日記事

 
22/10/15●「燃える闘魂」アントニオ猪木さんへの哀悼原稿(夕刊フジ掲載)を載せます

 予想はしていたとはいえ、訃報はやはりショックでした。私の恩人であり、私の人生をある意味でつくってくれた人でした。訃報後、テレビや新聞でインタビューに応え、夕刊フジには哀悼文を掲載してもらいました。

 その原稿を、ここに全文掲載します。

 なおその後、「ヨミドクター」にも寄稿しましたので、併せて読んでいただければと思います。

 

[ヨミドクター]「追悼」アントニオ猪木 自分を演出し続けた受け身の達人…プロレス人気を最高潮にした男

   https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20221012-OYTET50001/?catname=column_fuke-takashi

  

[夕刊フジ]哀悼「燃える闘魂」アントニオ猪木

 101日、早朝の訃報に、正直、本当にお疲れさまと合掌しました。いまも耳の奥で、「元気ですか!」の声が聞こえます。

 918日、「腰が痛くてたまらないので、専門の先生を連れてきてくれませんか」と電話があり、専門医と訪問したのが最後の別れになりました。ベッドのリクライニングを上げ、つらそうな表情は少しも見せず、「いや、よく来てくれました」と-----。もう、痛みを和らげるほか手の施しようがないことを、本当に悔やみました。

 

  猪木さんが、数万人に1人という「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」を患っていると知ったのは4年前です。タンパク質線維が心臓に沈着して、多臓器不全などを発症するという難病で、不治の病です。

 猪木さんの場合、とくに腰に激痛が走るようで、よくその痛みに耐えてきたと思います。心臓も冒され、腸捻転なども発症し、入退院、リハビリ、温泉治療などを繰り返し、最近は寝たきりでした。

 それなのに、8月末には『24時間テレビ』に車椅子姿で出演し、SNSでは闘病生活を公開してきました。なにもかもさらけ出し、その姿をファンに見てもらう。それが彼の生き方で、けっして飾ったりしない性格に、私も半世紀にわたって惹き込まれてきました。

 

 リングドクターをした経験から言うと、猪木さんほど怪我に縁遠いレスラーはいません。プロレスでは、相手の技をまともに受けていては体が持ちません。そこで、レスラーたちは技(わざ)を巧みに交わす技術を徹底して磨くのです。一言で言うと「受け身」ですが、猪木さんは、この受け身が天才的にうまかった。対戦したレスラーたちが必ず言ったのが「猪木には技がかからない」です。

 猪木さん自身もそのことを知っていて、弟子たちにその技術を教えていました。そんななかで、「私に匹敵するのは佐山聡(初代タイガーマスク)だけだ」と言っていたことを思い出します。

 

 レスラーは、一般人に比べ、カルシウム、無機リン、アルカリフォスターゼなどの数値が高く、猪木さんもそうでした。そのため、新陳代謝は活発で、回復力は早いのです。それなのに、最後に難病に罹り、それだけは技を交わすようには交わせませんでした。

 じつは昨年暮れ、2度、猪木さん宅を訪ねて様子を診たのですが、医者の直感からして長くはないと思い、胸に熱いものがこみ上げました。もちろん、誰にも話さずに来ましたが、あれから1年弱、本当によく頑張ったと思います。

 

 猪木さんには本当に世話になり、数々のことを教えられました。病院経営に失敗したさして取り柄もない私に、「先生、プロレスのドクターをしていることを利用してかまいませんよ」と気を使ってくれました。テレビに登場できたのも猪木さんのおかげです。 

 タイガー・ジェット・シン、アンドレ・ザ・ジャイアント、ハルク・ホーガン、そしてボクシングチャンピオンのモハメド・アリ、柔道王のウィリエム・ルスカなど、数々の名場面を思い出しますが、純粋にプロレスとしての最高の試合は、1988年の横浜文化体育館での藤波辰爾との60分ドローでしょう。

 かつて私は、1年の3分の2は試合に付き添い、全国を回りました。いまでも年に数回は一ファンとして試合を見ます。しかし、そこにアントニオ猪木の姿は永遠にありません。

 
22/10/01●今月から高齢者の医療費負担などが増える。背景には増大する一方の医療費が。

101日から、医療費負担が増えることになった。これまでは、75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担は原則1割だったが、以下に該当する人は2割負担になった。
単身世帯は年収200万円以上の人が、
複数世帯は、世帯年収が320万円以上の場合、
 報道によると、この対象者は後期高齢者全体の20%にあたる、およそ370万人という。

 ただし、負担の増加を緩和するため、101日から3年間は1か月の外来診療の自己負担の増加額は最大3000円までとする配慮措置が設けられ、超えた分は払い戻される。
 また、「かかりつけ医」での受診を促すため、紹介状を持たずに大学病院などを受診する場合にかかる料金も値上げされ、初診の場合、5000円以上から7000円以上となった。

 こうした負担増の背景には、年々増え続ける国民医療費がある。厚労省の発表によると、2021年度医療費は過去最高の44.2兆円。新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えの影響で2020年度は医療費が減少したが、再び増加に転じた。医療費の内訳は、「入院」が2.8%増の176000億円、外来や往診など「入院外」は7.5%増の153000億円。「調剤」は2.7%増、「歯科」4.8%増となっている。

 
22/05/31●「続・孤独死残酷物語」を夕刊フジで連載中。相次いだ有名人の自殺に衝撃

日本は、年間死亡者数が激増する「多死時代」を迎えました。そんななか、1人暮らしの高齢者、いわゆる「独居老人」が誰にも看取られずに死んでいく「孤独死」も増えました。それで、45日から1週間、「孤独死 残酷社会」というコラム連載を、夕刊フジで執筆しました。

 今回は、その続編で、530日から5日間、掲載されます。

 このコラムを書く前、渡辺裕之さん(66)、上島竜兵さん(61)が相次いで自殺するという、衝撃的な事件が起こりました。2人とも、心の老化、「老人性うつ」を病んでいたと思われます。老化は体ばかりではなく、心も蝕みます。

 人間、死ぬときは誰しも1人、つまり、孤独死です。このことを、最近、本当に実感します。

 連載2回目「最良のかかりつけ医の選び方」 

 
22/05/25●「突発性難聴」で10日間入院。老化には抗えない。後期高齢者を自覚!

 414日の朝、目覚めたら目眩がします。周囲がぐるぐると回転しているのです。また、右耳に雑音を感じました。起き上がると立ちくらみがして、ただ事ではないと血圧を測ると、170110でした。

 私は、すぐに脳梗塞を疑い、懇意にしている脳外科医に連絡して検査したところ、「富家さんの場合は、糖尿病を発症している上に、心臓の冠動脈の手術を3回も受けているので、こういった症状が出ることもありますよ」との診断。脳梗塞の所見はありませんでした。

 それで、点滴と注射をしてもらい帰宅しました。

 しかし、家で安静にしていたものの、耳の雑音は消えず、右耳が聞こえなくなっていることに気づいて、医学部の同級生がやっている耳鼻咽喉科クリニックを受診しました。細かい聴力検査を受けたところ、「これは突発性難聴だからすぐに入院治療が必要」と診断され、東京共済病院に入院したのです。

 以後、10日間、ステロイドの投薬治療を2クール受けながら、私はベッドの上で悶々と過ごしました。

 すでに私は糖尿病を患い、狭心症の手術を3回も受け、老いを十分に受け入れています。それでも、今年75歳を迎えて後期高齢者の仲間入りをしましたこともあり、老化とはこういうことなのかと実感しました。

 この経過と私の想いを、退院後、コラムを持っている「ヨミドクター」(読売新聞のサイト)に書きました。

 

75歳で突発性難聴発症、年を取ると病気が増えて死への不安も…延命治療だけは嫌』

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220518-OYTET50000/?catname=column_fuke-takashi

 
22/04/05●コロナ禍で「孤独死」激増、夕刊フジで「孤独死」をテーマにコラム連載

今週いっぱい、5日間にわたり、夕刊フジで『コロナ禍で浮き彫り、孤独死 残酷物語』というコラム連載を行なっています。

 コロナ禍になってから、「孤独死」が増えています。孤独死に明確な定義はありませんが、誰にも知られず1人で死んでゆき、あとから遺体で発見されるというが、典型的な孤独死の例です。

 2040年には、65歳以上の 2040年には、65歳以上の高齢世帯のうち約40%1人暮らしになると推測されています。東京都の場合は、なんと45%超で、現在でも30%が「独居老人」です。

 高齢社会が急速に進むなかで、このように独居老人が増えていくのですから、孤独死は今後、社会の大問題になります。「独居老人→看取り難民→孤独死」という例が今後ますます増えるのです。

 

 *以下、連載の第1回(44日、紙面)を、ここに収録します。

 

    

 

「コロナ禍で取り残される「独居老人」。

ワクチン難民、看取り難民、孤独死が増えている」

 2年以上も続くコロナ禍で、医療・介護から取り残され、孤独死する人が増えています。孤独死といっても定義があるわけではありませんが、多くの場合、1人暮らしで誰からも看取られずに死んでいくことを言います。

 いわゆる「独居老人」が増え、それとともに孤独死も増えて、コロナ禍以前から大きな問題でした。それがコロナ禍によって、さらに増えているのです。

 

 昨年の第5波のときに問題になったのは、入院や宿泊療養ができずに自宅で療養し、いつの間にか連絡がつかなくなって、保健所などの職員が訪ねてみると亡くなっていたというケースです。そのため、「自宅療養ではなく自宅放置ではないか」という批判が出ました。昨年12月には、そうした放置死にあった遺族が連絡を取り合い、「自宅放置死遺族会」までできたほどです。

 

続きを読む...
 
More Articles...
<< 最初 < 1 2 3 4 5 > 最後 >>

ページ 1 の 5
Free template 'I, Gobot' by [ Anch ] Gorsk.net Studio. Please, don't remove this hidden copyleft!