医師・ジャーナリストという私の視点を通して、最新の医療ニュースを伝えるとともに、自身の活動の報告をしています。 【ご案内】ラ・クイリマ 富家孝が医師の目線で医師の転職をサポートします。 厚生労働省許可番号 13-ユ-305517 【お願い】 よくお問い合わせいただくのですが、医療法人社団富家会 富家病院(埼玉)、 富家千葉病院は、富家孝とは関係がありません。お間違いないようにお願いいたします。
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09/10/08■看護師不足なのに、外国人看護師は7年で帰国させる愚 |
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10月7日付けの読売新聞に、”外国人看護師、在留期限「7年」の壁 言葉の壁は越えたのに…”という記事が掲載されている。これは、日本の看護師養成校で学び、資格を取ったベトナム人看護師たちが、7年の在留期間が切れるのを前に「日本で働き続けたい」と訴えているということをルポしたものだ。
現在、「医療」の在留資格で滞在する外国人医師・看護師らは、昨年末で計199人。就業看護師が約87万7000人なので、外国人が占める割合は小さいが、看護師不足が深刻化しているのに、この処置はない。また、同じ外国人看護師でも経済連携協定(EPA)で来日したインドネシア人らは資格を取れば就労期間の制限がないから、ベトナム人に対してこの規定を厳格に適用するのは、不公平になりかねない。
日本は、ただでさえ外国の人材を受け入れない国として有名だが、こんなことを続けていると、少子高齢化のなか、専門職人材はどんどん減少していくだけだ。また、国際交流の面からいっても、国のイメージにマイナスになる。日本で働きたいという人、それも専門職なら、どんどん受け入れるべきだろう。とくに、彼女たちは6年も日本で過ごし、日本語も達者だし、日本の文化にもなじんでいる。ある意味で、日本人の看護師よりよく働く。
読売の記事によると、日本看護協会の小川忍常任理事は「外国人看護師は研修の一環として受け入れるという国の立場を堅持すべきだ。医療現場の看護師不足は深刻だが、それを外国人で補うのではなく、潜在看護師の復帰などに向け、労働環境を改善するのが先」と反対しているが、首を傾げざるをえない。 |
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09/09/30■混合診療に正反対解釈!原告が逆転敗訴 |
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保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」を受けると、医療費の全額に保険が適用されないのは違法かどうかの解釈で、東京高裁は「適法」という解釈を下した。 医療費全額負担を「不当」だとして国を訴えていたのは、神奈川県藤沢市の腎臓がん患者•清郷伸人さん(62)だが、9月29日、東京高裁は、この訴えを棄却したのである。保険の受給権を認めた1審・東京地裁の判決とは正反対の解釈に、私はあらためて衝撃を受けた。 大谷禎男裁判長は「保険で提供する医療は、保険財政の面からの制約や提供する医療の質を確保するため、範囲を限定することはやむを得ない」と述べたが、1審では「保険適用外には、根拠がない」とされ、「支払う必要はない」とされていたのである。 法律的な問題は、私の専門外なので、ここでは触れない。ただ、今回の判決は、明らかに医療の現実に逆行している。医療は日進月歩し、いまでは、保険適用外の治療のメニューは山ほどある。それを、自由診療で受けたいというのは、患者側の願いであり、その選択肢を国が奪うのはおかしいはずである。 「そうすると、金持ちだけを優遇することになる」というが、本当の金持ちは混合診療などと関係なく、最先端治療を受けている。ならば、少しでも、選択肢を広げ、一連の医療行為を保険外が混ざっただけで、全額患者負担とするのは、どう考えてもおかしい。 混合診療を認めるか認めないかは、これまで議論が繰り返され、小泉政権時には国は「部分解禁」に踏み切った。しかし、医師会側は、「保険外診療が拡大すると、高額費用を負担できる患者とできない患者に二分され、結果的に、国民会保険制度は崩壊する」と、反対してきた。 ただ、この医師会の反対は、国民会保険制度のもとで安定収入が得られなくなる恐れがあるからで、100%患者側に立った反対ではない。 今回の判決で、混合診療問題は、またしても迷走することになった。今後、最高裁まで争われるのは間違いない。とすると、その間は、この解釈をめぐって、厚生労働省の「裁量行政」が続くことになる。民主党政権は「政治主導」を標榜する以上、早急にこの問題に道筋をつけるべきだろう。 |
09/09/23■新型インフルエンザ、ワクチンでは7割超の人が「不安」「不十分」 |
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新型インフルエンザ(H1N1)などのパンデミック(世界的大流行)について、医療面での対策を「不十分」と感じる人が半数以上に及ぶという調査結果が発表された。調査したのは、日本経団連の関連団体、経済広報センター(東京)。インターネットを通じて実施し、全国の2179人から回答を得た。
調査結果によると、国の新型インフルエンザに対する対応については、65%の人が「評価する」としているものの、「抗インフルエンザウイルス薬の備蓄・予防投与やワクチンの開発・製造」については、77%の人が「不十分」と厳しい評価をしている。発熱外来対応の充実や入院病床の確保といった「医療体制の整備」も、不十分との見方が57%に達している。
「豚インフルエンザ」と言っていたものが、「新型インフルエンザ」と呼び名が変わり、今後は大規模な流行も予想されている。もし、パンデミックとなれば、現在の日本の状況では、ワクチンが足りなくなる可能性もある。
そんななか、厚生労働省は、新型インフルエンザワクチンの接種費用を全国一律にする方針を固めている。現在、厚労省は新型インフルエンザワクチンについて、接種費用を自己負担してもらうよう調整しており、2回接種で6000〜8000円程度になる模様だ。もちろん、生活保護世帯など低所得者は負担を軽減する。ワクチン接種は、10月下旬から、まず医療従事者に接種し、来年3月までに計約5400万人に打つ方針となっている。 すでに厚労省は、「新型インフルエンザの流行シナリオ」を発表している。それによると国内の患者数は年内に人口の約20%、約2500万人に達するという。そのうち約38万人が入院し、約3万8000人が重症化すると予測している。 |
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09/09/17■厚生労働大臣に長妻昭氏。大いに期待したい! |
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2009年9月16日、鳩山民主党政権が発足した。 医療行政を管轄する厚生労働大臣には、予想通り、「年金のエキスパート」長妻昭氏(49)が就任した。長妻氏は、「厚労省のうみを出していく。国民から尊敬される官僚が出てくる組織に生まれ変わらせることが私の責務だ」と記者会見で語ったように、今後、年金行政を中心に厚労省をどんどん改革していくだろう。 (長妻昭HPより) 彼は、2度の落選後、2000年の衆院選で初当選して、政界入りした。じつは、私も、2003年衆院選に東京7区より立候補して落選(当初は自由党の公認候補だったが、このとき民主党と自由党が合併したため無所属の会で出馬)。さらに、2005年衆院選には、選挙区を地元の大阪13区に移し、民主党公認で出馬したが落選した。 落選は苦い経験である。それを知っているからこそ、2度の落選を乗り越え、しかも自分の志を1本に絞って活動してきた長妻氏には、大いに期待したい。彼は、もともとは電機メーカーで営業をやっていた。また、ビジネス雑誌の記者もやっていたから、世間智も備わっている。芯がしっかりしている。 |
民主党政権が間もなく発足する。そこで、民主党の医療政策と、医療・介護関係の議員がどれくらいいるのかをチェックしておきたい。 まず、民主党の医療政策だが、マニフェストの「民主党7つの提言」の2番目に「医師不足を解消して、安心の治療をつくる。」というのが、最大のポイントだ。さらに、同党はマニフェストで社会保障について、およそ、次のようなことを謳っている。 ▽後期高齢者医療制度・関連法は廃止する ▽OECD平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする ▽病院運営交付金を従来水準へ回復する ▽新型インフルエンザに関し、ガイドライン・関連法制を全面的に見直すとともに、診療・相談・治療体制の拡充を図る ▽子宮頚がんに関するワクチンの任意接種を促進する ▽認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる ▽当面、療養病床削減 計画を凍結し、必要な病床数を確保する このうち、緊急の課題は、もうすぐにでも予想される新型インフルエンザ対策であろう。これに対する備えは一刻の猶予も許されない。もし、大流行となり、都市部で死者が次々に出るような事態になれば、新政権はたちまち行き詰まる可能性すら考えられる。 次に、医療・介護職関係の議員だが、小選挙区からは、新人の医師、石森久嗣氏(栃木1区)が初当選を果たしている。同じく医師の岡本充巧氏(愛知9区)は3選、薬剤師の三井辨雄氏(北海道2区)は4選となった。また、新人で医師の仁木博文氏(徳島3区)は比例代表で復活当選している。 さらに、比例単独候補では、新人で看護師の山崎摩耶氏(北海道ブロック)が当選している。 この計5人が医療・介護関係議員だが、この数は、自民党時代より少ない。 |
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