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22/04/05●コロナ禍で「孤独死」激増、夕刊フジで「孤独死」をテーマにコラム連載

今週いっぱい、5日間にわたり、夕刊フジで『コロナ禍で浮き彫り、孤独死 残酷物語』というコラム連載を行なっています。

 コロナ禍になってから、「孤独死」が増えています。孤独死に明確な定義はありませんが、誰にも知られず1人で死んでゆき、あとから遺体で発見されるというが、典型的な孤独死の例です。

 2040年には、65歳以上の 2040年には、65歳以上の高齢世帯のうち約40%1人暮らしになると推測されています。東京都の場合は、なんと45%超で、現在でも30%が「独居老人」です。

 高齢社会が急速に進むなかで、このように独居老人が増えていくのですから、孤独死は今後、社会の大問題になります。「独居老人→看取り難民→孤独死」という例が今後ますます増えるのです。

 

 *以下、連載の第1回(44日、紙面)を、ここに収録します。

 

    

 

「コロナ禍で取り残される「独居老人」。

ワクチン難民、看取り難民、孤独死が増えている」

 2年以上も続くコロナ禍で、医療・介護から取り残され、孤独死する人が増えています。孤独死といっても定義があるわけではありませんが、多くの場合、1人暮らしで誰からも看取られずに死んでいくことを言います。

 いわゆる「独居老人」が増え、それとともに孤独死も増えて、コロナ禍以前から大きな問題でした。それがコロナ禍によって、さらに増えているのです。

 

 昨年の第5波のときに問題になったのは、入院や宿泊療養ができずに自宅で療養し、いつの間にか連絡がつかなくなって、保健所などの職員が訪ねてみると亡くなっていたというケースです。そのため、「自宅療養ではなく自宅放置ではないか」という批判が出ました。昨年12月には、そうした放置死にあった遺族が連絡を取り合い、「自宅放置死遺族会」までできたほどです。

 

 

 現在の第6波ではこうした例は少なくなりましたが、依然として増えているのが、コロナ禍による緊急事態宣言や蔓防による影響で、コロナ感染していない人の孤独死です。こうした方は、たいてい基礎疾患持ちですが、コロナ禍で自粛生活を余儀なくされ、その間に、心筋梗塞や脳梗塞などに見舞われたり、糖尿病や認知症が悪化したりして亡くなっています。自宅内転倒で意識不明となり、訪ねた家族が死んでいるのを発見したといった例もあります。

 コロナ禍は、ほかの病気の医療逼迫を加速させました。手術が遅れたり、検査ができなかったりした影響は大きいのです。

 

 この2年の間で、がんで亡くなった人が減ったというデータがあります。それは、コロナのほうに医療リソースが奪われ、検査や手術が減ったことが原因と思われます。私は訪問診療のアドバイスをしたり、応援に入ったりすることがありますが、現場で見聞する孤独死のなかには、胸につまるものもあります。

 孤独死をすると、身寄りがなければ行政が入り、自宅は専門の清掃業者が遺品処理を行います。その業者がこんなことを言います。

 

「コロナになってから、部屋のなかがよく片付いていたり、冷蔵庫にきちんと食料が確保してあったりすることが多くなりました。ちゃんと自粛生活をしているなかで亡くなっているからだと思います」「なにがつらいと言いますと、年金生活の方の場合、できる限り節約して通院を控えていたようなことがうかがえることです」

 孤独死した高齢者のなかには、ワクチン接種の予約方法がわからず、しないでいるうちにコロナにかかり悪化して亡くなった人もいます。1人暮らしでは、認知症になると悪化が早いので、こういうケースはありえます。いわゆる「ワクチン難民」の稀なケースです。

 

 孤独死につながる1人暮らしには、2つの大きなリスクがあります。1つ目は、運動不足によって、体力が落ち、免疫力が低下することです。こうして老化がどんどん進みます。2つ目は、人と会う機会が減るので、抑うつ傾向が強まることです。

 こうして、1人暮らしを続けると、最終的に誰も気にかけてもらえなくなり、身寄りがなければ、完全な「看取り難民」になってしまいます。

 

 現在、看取り難民を救うために、さまざまな在宅医療サービスや看取り型の訪問看護などが行われていますが、いずれもお金がかかります。自治体では、たとえばスマホの通話アプリを活用した見守りサービスが行われていますが、なかなか周知されていないようです。

 現在、高齢者の5人に1人が1人暮らしとなっています。人間誰しも死ぬときは必ず1人ですが、1人暮らしになる前に、自分の死に方を考えておくべきです。コロナ禍が続いているので、「終活」は本当に必至です。

 
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