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私の講演会のテーマと内容 PDF 印刷

            

       ■いちばん多いのは「名医」に関する質問


 私は、年間100回近く講演しています。そこでの話は「名医はどうやって探したらいいのか?」「いい医者とは?」「いい病院とは?」「医療ミスに遭わないためにはどうすればいいか?」などが中心です。

 また、「賢い患者になる方法」「病院経営の方法」「高齢化社会を生き抜く健康ノウハウ」などについても話しています。

  しかし、どの講演でもいちばんよく聞かれるのが、「どうやって名医を見つけたらいいのか?」というもので、最近は「医療不信」が高まっているせいか、みな さん、熱心に質問してこられます。これに、できる限りホンネで答えるのが、私の講演での最大の仕事であり、役目だと考えています。

        ■医者だから言える本当のこと


 私は呼ばれれば全国どこへでも行きますが、講演会では、形式的な話はいっさいしません。ずばり、医者だから言えるホンネで迫ります。

 最近は、医療費の負担も増しているので、みなさん、熱心に私の話を聞いてくれます。本来なら、医者にかからない、病気をしないのが最高の生き方なのですが、なかなかそうもいかないのが、現代です。

 そこで、やはり、医者にかかるなら、「賢い患者」になる必要があります。いちばんいけないのが、医者に「丸投げ」してしまう患者さんです。これをやっていては、治る病気も治らないし、医療費もかさみます。

 では、どうしたらいいのか? 医者の視点から、私は話しています。

        ■主な講演テーマは?


 最近の私の主な講演テーマは、以下のようです。

 ●「医者しか知らない危険な話」

  患者たらい回し、院内感染、臓器移植など、社会問題化しているテーマの背景と対策を解説。

 ●「賢い患者学」

  現在の医療の問題点をふまえ、患者の立場から、どうしたらいい医療を受けられるのかを、解説。名医と藪医者の見分け方など……。

 ●「時代が求める医療」

  日本の医療はいまのままでいいのか? よりいっそうの情報開示と公正さが求められるなか、医者、患者はどう向き合っていけばいいのか?

 ●「医療事故と医者との戦い方」

  私は身内に医療事故の経験があるので、その経験もふまえて、医者、病院とどう闘うかを解説。医療訴訟の闘い方についても……。

 ●「高齢社会を生き抜く健康法」

 メタボ健診もはじまり、高齢化社会も進展。そんななかで生活習慣病を予防し、長生きできる健康法とは?

 

         ■私の講演はこんなふう


        では、ここに、私の講演の概要を掲載します。

    これは、1つの例にすぎませんが、私はだいたいこんな内容のことを話しています。

       神奈川県藤沢市での講演/サマリー】

         

 日本はいま、さまざまな業界で大きな変化を迎えています。年功序列、終身雇用も終わりました。既得権の商売もこれからは全部なくなっていくでしょう。天下りもなくなる。いまがちょうど時代の変わり目で、医療の世界も全部これから変わっていく時代の始まりだと思います。


 私は20年も前に手術室にビデオをつけろと書きました。最近それがやっと具体的になってきています。手術は密室ではなく、公開されるべきなのです。


 今日はマスコミの方もいらしてますが、人脈と情報は個人についたものですね。医者の技術もまったく同じで、大学とか病院についたものではなく個人についたものです。


 ですから、とくに外科医の場合は、この技術が名医かどうかの決め手になるのです。いい医者というのは、肩書きや地位でなく、腕なのです。だから、その腕のよしあしを知るためには、手術室にビデオが必要なのです。 


 最近、ある都内の大学病院で心臓外科の教授選挙がありました。1時間の手術を15分でやる日本でもビッグ3に入る先生に、たった11票しか入らなかった。ところが、都内の有名大学出で、人柄はいいがほとんど実績のない先生に、21票も入ったのです。


 南淵明宏先生のように、有名で優秀な先生が負けたのです。


 したがって、われわれの業界では、あそこの大学で心臓手術受けても駄目よということが常識になっています。 


 技術というのは個人についています。特に心臓外科は巧みさというか「うまさ」がすべて物を言います。肩書きでは駄目ですね。しかし、いまだに教授が上手いとか、部長が上手いと思っている方がたくさんおられます。肩書きや地位ということと技術には大きな落差があるのです。


 賢い患者になるために、まずは、このことを知ってください。


 今日は、医療事故のお話をしておきたいと思います。日本には1200万人の患者さんがいますが、そのうちの0・4%が医療事故で亡くなっているといいます。


 医者の技術の未熟さ、医療機器の操作の失敗で、手術後にでっちあげの病名をつけられ、真相はほとんど分からないまま、なんと4万8000人の患者が死亡しています。 


 医療事故の被害者の願いは、現状回復です。あの世に逝った子、夫、妻を返して欲しい。あるいは、傷害者になった子、夫、妻をもとに戻して欲しいと。


 しかし、その願いがかなわないため、損害賠償を求める。ただし、お金をもらっても亡くなった子は還ってこないわけで、次に本当のことが知りたいというようになってきます。拉致問題もそうでしょう。


 いわゆる社会問題というのはみな、真相を知りたいということにあります。この情報化社会で本当のことが知りたい。だから、私はビデオ・録音を義務づけろということを申し上げているわけです。 


  被害者の方は、よくみなさんは解剖したいと、おっしゃいます。でも、解剖は全部医者の指導でやっている。どういうことかというと、病理解剖しかやっていな い。この病理解剖はやってもなんの意味もないのです。病理解剖は、じつは簡単に言いますと、病院という身内の解剖です。


 たとえば県立病 院がある、済生会病院がある。そこの医師は大学からパッケージで来ています。院長、副院長、そして消化器の部長といったふうに、あのポストは先輩、こちら は後輩というようにパッケージで来ている。したがって病理の医者もみんな身内なんです。これでは、真相はわかりません。グレーゾーンなわけですね。 


 そこで、みなさんが求めなければいけないのは法医解剖です。神奈川県の場合は、県警察医ですが、東京都、大坂府は監察医務医というのがあります。みなさんがどうしても死因に納得いかなければ、死亡診断書を受け取らずに解剖に持っていって下さい。解剖は司法解剖です。 


  司法解剖は大学の法医学教室に電話して、じきじきに司法解剖をお願いしたいと言います、もしくは警察に行く。この警察も地元は絶対に駄目です。例えば東京 ですと、芝警察と慈恵医大は仲が良い。当たり前のことですね。地元でいろいろな事件があると、その度にお世話になったりしているからです。したがって、地 元署に告発しても、まったく意味がありません。東京なら警視庁の本部へ持っていかなければ駄目なんです。 


 これからの医療というのは、情報がとことん開示されることになると、私は思っています。患者さんが医者にそれを求めていかねばなりません。


 これからは、どこの大学出て、どこで何例手術してなどという先生の情報が全部わかったうえで、患者になって医者にかかるという時代です。


  これまで医者は、もっとも既得権が多い仕事でした。みなさんご存知のとおり、医者は世襲制が92%です。みなさんの知り合いで息子さんが医者になっていな い人はいないでしょう。そして昔から、患者がお金払ってありがとうございましたと言って、帰りに自分の病気のことを聞くと、怒られたりしました。


 手術も6時間と言ったのになんで8時間もかかったのだろうと疑問に思っても聞けなくて、こういうことでずっときたわけです。


 でもこれからは、みなさんの力で医療も完全に変わってくる。情報開示もこれから徹底して来ます。医者も患者も情報を共有するという時代が当たり前になってきます。


  私が20年前に手術室にビデオを設置せよと書いたら、友達の医者が「手術は見せるものではない」と言ってきました。私は人に見せられない手術だったらやめ ろと言いたい。どうかみなさん、医療過誤は割合身近に多いんだと言うこと、とくに技術は本人についていて、地位とかポジションではなく、本当に上手い人は その個人が動いているということを、よく肝に命じていただきたいと思っております。



 

 
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