[これが医者の世界]学閥、給料、待遇から見たセンセイたち
[これが医者の世界]学閥、給料、待遇から見たセンセイたち - 病院経営は「負のスパイラル」状態 |
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ページ 3 の 10 病院倒産は確実に増えている。ここ数年の見せかけの好景気でなんとか持ちこたえた病院も、世界大不況が来たいまは、どこも火の車だ。 今後、倒産する病院は、どんどん増えるだろう。 2001年から2007年にかけて倒産(法的整理)に追い込まれた医療機関の数は、210件に上る(帝国データバンク調べ)。とくに2007年には病院の倒産が相次ぎ、2001年に比べて6倍近くに増えた。2008年の件数はまだ確定していないが、2007年を上回り、2009年はさらに多くの病院が倒産ないし、統合・整理に追い込まれるだろう。 病院倒産の原因は、なんといっても患者数の減少と不況につきる。国全体の医療費が減っていないのもかかわらず、病院が倒産していくのはそのせいである。とくに厳しいのが中小規模の病院で、これは大病院への患者集中に起因している。倒産した医療機関210件の内訳を見ると、病院(病床数20床以上)が52件、診療所(20床以下)が95件、「歯科医院」が63件だから、やはり、中小ほど厳しいのがわかる。 さらに、都道府県別の倒産件数を見ると、東京都40件、大坂府27件、北海道18件、神奈川県・愛知県がそれぞれ13件で、都市部で医療機関の過当競争が進んでいるのがわかる。 医療機関の倒産件数は、2001年以降は30件前後で推移していたが、2007年には48件と前年から一気に1.5倍以上も増加した。とくに、病院の倒産が17件と前年(5件)から3.4倍に増えているのが目立つ。 また、中小ばかりか、最近では大病院も倒産するようになり、負債額が30億円以上の大型倒産も目立ってきた。帝国データバンクが医療機関の倒産原因を分析した結果では、「販売不振」が最も多く、次いで「放漫経営」、「設備投資の失敗」と続いている。 販売不振というのは、ずばり診療報酬の減少を指す。医療費抑制のため、2002年から3回続いた診療報酬マイナス改定、とりわけ2006年の3.16%減が病院経営を直撃した。その一方で、不足する医師の確保が人件費増につながり、医師不足が患者減少を招くという、まさに「負のスパイラル」状態に病院経営は陥ってしまった。 看護基準の保険点数見直しも、病院経営を危機に陥れている。看護師の労働環境改善を図る目的で、急性期一般病棟の患者7人に対し看護師1人という「7対1看護」が行われるようになってから、中小病院はさらに苦しくなった。この「7対1看護」を実施し、夜勤時間を月平均72時間以下に軽減した病院には、入院基本料がアップするという新基準が導入されたのだが、その結果、なにが起っただろうか? 大病院のなりふり構わぬ看護師集めである。これが、慢性的な看護師不足に悩む中小の病院に、大きなダメージとなったのは言うまでもない。 水増し請求など当たりまえ これだけ病院経営が悪化すると、医者も医療も悪化の一途をたどっている。 どんなことでもそうだが、「貧すれば鈍する」というように、医療の質は低下し、医者のモラルも低下する。 もともと、病院というところは嘘のオンパレードなのだが、経営が悪化すれば、この嘘はますますひどくなる。すなわち、「薬漬け」、「検査漬け」ならまだましな方で、保険料の「不正請求」などが日常茶飯事化する。 不正請求というのは、ひと言で言えば「架空請求」である。つまり、処置してもいないことを処置し、出してもいない薬を出したように見せかけることだ。こうした医療処置は「レセプト」(診療報酬明細書)に記載されるが、いまのところ、一部をのぞいて医者側にこれを開示する義務はない。ただし、患者本人や遺族は開示請求が可能だから、最近は、このレセプトの開示を求める患者も多くなった。 その結果、不正請求は減ったとされるが、以前はやりたい放題であった。 病院による不正行為は、レセプトだけではない。患者の無知をいいことに、「差額ベッド」に押し込んでしまうということも平気で行なわれている。健康保険の効かない自己負担のベッドを差額ベッドと呼ぶのは、みなさんもご存知と思う。 この差額ベッドに関しては、使う場合には、病院側は患者本人にあらかじめ承諾を得る決まりになっている。ところが、それをしない病院が後を絶たず、退院時に患者との間でトラブルになるケースが多いのだ。 たちの悪い医者ほど、患者が気がつかなければいいと思っていて、平気でこれをやるのである。 |