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22/05/31●「続・孤独死残酷物語」を夕刊フジで連載中。相次いだ有名人の自殺に衝撃

日本は、年間死亡者数が激増する「多死時代」を迎えました。そんななか、1人暮らしの高齢者、いわゆる「独居老人」が誰にも看取られずに死んでいく「孤独死」も増えました。それで、45日から1週間、「孤独死 残酷社会」というコラム連載を、夕刊フジで執筆しました。

 今回は、その続編で、530日から5日間、掲載されます。

 このコラムを書く前、渡辺裕之さん(66)、上島竜兵さん(61)が相次いで自殺するという、衝撃的な事件が起こりました。2人とも、心の老化、「老人性うつ」を病んでいたと思われます。老化は体ばかりではなく、心も蝕みます。

 人間、死ぬときは誰しも1人、つまり、孤独死です。このことを、最近、本当に実感します。

 連載2回目「最良のかかりつけ医の選び方」 

 
22/05/25●「突発性難聴」で10日間入院。老化には抗えない。後期高齢者を自覚!

 414日の朝、目覚めたら目眩がします。周囲がぐるぐると回転しているのです。また、右耳に雑音を感じました。起き上がると立ちくらみがして、ただ事ではないと血圧を測ると、170110でした。

 私は、すぐに脳梗塞を疑い、懇意にしている脳外科医に連絡して検査したところ、「富家さんの場合は、糖尿病を発症している上に、心臓の冠動脈の手術を3回も受けているので、こういった症状が出ることもありますよ」との診断。脳梗塞の所見はありませんでした。

 それで、点滴と注射をしてもらい帰宅しました。

 しかし、家で安静にしていたものの、耳の雑音は消えず、右耳が聞こえなくなっていることに気づいて、医学部の同級生がやっている耳鼻咽喉科クリニックを受診しました。細かい聴力検査を受けたところ、「これは突発性難聴だからすぐに入院治療が必要」と診断され、東京共済病院に入院したのです。

 以後、10日間、ステロイドの投薬治療を2クール受けながら、私はベッドの上で悶々と過ごしました。

 すでに私は糖尿病を患い、狭心症の手術を3回も受け、老いを十分に受け入れています。それでも、今年75歳を迎えて後期高齢者の仲間入りをしましたこともあり、老化とはこういうことなのかと実感しました。

 この経過と私の想いを、退院後、コラムを持っている「ヨミドクター」(読売新聞のサイト)に書きました。

 

75歳で突発性難聴発症、年を取ると病気が増えて死への不安も…延命治療だけは嫌』

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220518-OYTET50000/?catname=column_fuke-takashi

 
22/04/05●コロナ禍で「孤独死」激増、夕刊フジで「孤独死」をテーマにコラム連載

今週いっぱい、5日間にわたり、夕刊フジで『コロナ禍で浮き彫り、孤独死 残酷物語』というコラム連載を行なっています。

 コロナ禍になってから、「孤独死」が増えています。孤独死に明確な定義はありませんが、誰にも知られず1人で死んでゆき、あとから遺体で発見されるというが、典型的な孤独死の例です。

 2040年には、65歳以上の 2040年には、65歳以上の高齢世帯のうち約40%1人暮らしになると推測されています。東京都の場合は、なんと45%超で、現在でも30%が「独居老人」です。

 高齢社会が急速に進むなかで、このように独居老人が増えていくのですから、孤独死は今後、社会の大問題になります。「独居老人→看取り難民→孤独死」という例が今後ますます増えるのです。

 

 *以下、連載の第1回(44日、紙面)を、ここに収録します。

 

    

 

「コロナ禍で取り残される「独居老人」。

ワクチン難民、看取り難民、孤独死が増えている」

 2年以上も続くコロナ禍で、医療・介護から取り残され、孤独死する人が増えています。孤独死といっても定義があるわけではありませんが、多くの場合、1人暮らしで誰からも看取られずに死んでいくことを言います。

 いわゆる「独居老人」が増え、それとともに孤独死も増えて、コロナ禍以前から大きな問題でした。それがコロナ禍によって、さらに増えているのです。

 

 昨年の第5波のときに問題になったのは、入院や宿泊療養ができずに自宅で療養し、いつの間にか連絡がつかなくなって、保健所などの職員が訪ねてみると亡くなっていたというケースです。そのため、「自宅療養ではなく自宅放置ではないか」という批判が出ました。昨年12月には、そうした放置死にあった遺族が連絡を取り合い、「自宅放置死遺族会」までできたほどです。

 

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22/04/05●すでに新型コロナ第7波は始まっている。どうなる今後の対策

新型コロナウイルスのパンデミックは3年目に入り、いっこうに収束する気配がない。昨年11月に見つかった変異ウイルス「オミクロン型」は瞬く間に世界に広がり、日本でも過去最第6波を引き起こした。これに対して、政府は毎回同じ「まん延防止等重点措置」で対応したが、その効果はなく、いままた、感染は再び増加に転じている。

 「すわ、第7波か?」か、メディアも騒ぎ出したが、そもそも第1、第2などと区分してみてもあまり意味がない。

 知り合いの大病院(都内)では、入院患者は減ったが、発熱外来の患者が増え、従来のオミクロン株「BA.1」が「BA.2」に移行しているという。患者の半数が「BA.2」とか。

 

  ©️NHK 

 今日(45日)発表された東京都の感染確認者数は6968人で、1週間前の火曜日より900人近く少ないが、1週間平均の新規感染者数は5日時点で7482.0人で、前の週に比べて約1.04倍。 大阪は、約1.1倍。

 もう、新型コロナは収束しない、ありきたりの感染症として、別の対策を取るべきだろう。今回、政府は「まん防」を発動しないというが、まさか、このまま放置するのでは

ないだろう。

 
22/03/27●コロナのワクチン接種、3回目も進まないのに4回目を検討中。本当に必要なのか?

 新型コロナワクチンの3回目接種がようやくスタートしたが、いっこうに進まない。大型接種会場はガラガラだという。それなのに、政府は早くも4回目接種の検討と準備に入るというので驚く。24日の分科会で方針が決まり、早ければ5月にもスタートするという。

 イスラエルではすでに4回目が始まってはいるが、まだ、4回目の有効性・安全性に関する知見は少ない。

 これまでを見ていると、日本の場合は、毎回、海外の状況を見て、独自の調査・研究・治験がないままに「見切り発車」してきた。今回もまたそうなるのだろうが、やるなら、重症化リスクによって対象者を絞ることも必要だろう。このままだらだらと、高齢者から子供まで何回も打ち続けることになれば、それは麻薬常用と同じになってしまう。

 コロナ自体も変異し、ワクチン以外にも治療薬が揃ってきたので、もうそろそろ治療のやり方を変えるべきだろう。

 このままでは、ワクチンを製造したメガファーマを儲けさせるだけではないだろうか?

   ©️BBC

 
22/01/05●沖縄で感染爆発!またも「まん延防止」適用。東京は要請。なにも学んでいないのか?

政府は1月5日、新型コロナウイルスの感染が沖縄県で急拡大していることを踏まえ、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づくまん延防止等重点措置を同県に適用する方向で調整に入ったと報道された。

 状況次第で緊急事態宣言の可否も検討するという。

 オミクロン株が確認されてから1ヶ月あまり、感染者数は東京都、大阪府、広島、山口、北海道などでも増えており、都道府県によっては、今後を見据えながら「まん延防止」を要請する意向だという。

 それにしても、欧米に比べたら圧倒的に少ない感染者数で、なぜ、こうも恐れるのだろうか? アメリカは1日の感染者数が100万人になるとおうのに、日本は、今日の段階で2000人ほどだ。重症者数も死者数も増えていない。

 コロナはオミクロンになって、ワクチンでは感染拡大が防げないことが明確になった。また、弱毒化しているのも間違いないだろう。

 とすれば、いまさら、以前と同じ措置をする必要があるだろうか? もういい加減、私たちは、この2年の経験から学ぶべきではないか?

 
22/01/03●昨年暮れに、夕刊フジで「変異株 ファクターX コロナ禍で日本人はどう変わったか?」(2回連載)を執筆しました。

https://www.iza.ne.jp/search/?kw=富家孝

 【変異株 ファクターX コロナ禍で日本人はどう変わったか?】「睡眠が1時間増えるごとに感染率は12%低下」の研究結果 「1日20分の運動で平均寿命が5歳伸びる」は真実
  20211229日
 

  新型コロナ感染症のパンデミックは、私たちの生活を大きく変えました。度重なる自粛要請や行動様式の規制により、この2年間、何度も「巣ごもり」を余儀なくされました。




 

【変異株 ファクターX コロナ禍で日本人はどう変わったか?】コロナ禍の日本人、さらに強めた「生」への執着心 欧米諸国では、死を運命として受け入れる
  20211228日
 

  コロナ禍の2年間が終わろうとしています。幸い日本は現在、感染者数が激減し、他のどの国よりいい状況にあります。それでもなお、私たちは毎日マスクをし、どこに行っても手指消毒を欠かさず、ソーシャルディスタンスを守る「新しい生活様式」を続けています。






 
21/11/15●夕刊フジで連載コラム「飲み過ぎ危険!薬漬けにならないための基礎知識」(全5回)を執筆しました。

「飲み過ぎ危険!薬漬けにならないための基礎知識」(全5回)のうち3回分は、以下のサイト(zakzak)からアクセスできます。

https://www.iza.ne.jp/search/?kw=富家孝

【飲み過ぎ危険! 薬漬けにならないための基礎知識】アプリも登場「お薬手帳」活用して“残薬“や”薬漬け”を減らす 医療費も少し安価に


 20211113日
 

 

 高齢者は複数の病院にかかったり、同じ病院でも複数の科にかかることが多くなりました。それもあって、「薬漬け」はいっこうに改善されません。厚労省の調査(2020年)によると、65~74歳の15%が7種類以上の薬を処方されています。75歳以上になると、26%に跳ね上がります。



【飲み過ぎ危険! 薬漬けにならないための基礎知識】風邪に1週間で119錠も処方! 軽い症状には「氷枕・しょうが湯」を

 20211110日
 

 最近の患者さんは賢くなったので、医者が何種類も薬を出そうとすると、「そんなに必要ですか」と聞く方が多くなりました。なにも聞かないと、医者というものはとにかく薬を出します。



【飲み過ぎ危険! 薬漬けにならないための基礎知識】処方される薬の3分1は無意味!? 「薬漬け」の原因は日本独特の診療報酬システム、病院と製薬会社の癒着

 

 2021119日
 

 

 これまで私が出会った患者さんのなかには、20種類以上の薬を飲んでいる方がいました。私と同じように心疾患と糖尿病の持病を持つ方でしたが、聞くと「どうやって減らしていいのかわからない」と言うのです。また、個々の薬がどんな効果があるかもわかっていませんでした。 

 

*なお、以下に、1113日掲載分の「アプリ登場「お薬手帳」活用して“残薬”や“薬漬け”を減らす 医療費も少し安価に」を転載します。

 

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21/09/20●連載コラム「自宅でしなないために」(夕刊フジ)を再録します

 先月、コロナ感染者数がピークで、自宅療養(自宅放置)者が激増したとき、夕刊フジで4回にわたって「自宅で死ないために」をコラム連載しました。今回、それが、別冊新聞「健活手帖」に再録されました。

 そこで、ここに第1回の原稿「なぜ「自宅療養」をせざるをえないのか?」を再録します。

 

新型コロナ感染爆発、自宅で死なないために
1)なぜ「自宅療養」をせざるをえないのか?


 日本は「法治国家」とされますが、新型コロナの感染爆発を目の当たりにすると、「放置国家」と言わざるをえません。東京はすでに医療崩壊しており、これ以上、患者さんが増えたら、国民皆保険制度も破綻します。

 コロナ患者さんを診ない医師会所属の町医者が批判されていますが、これは制度上仕方ないことです。指定感染症の分類を2から5にしろという意見がありますが、そうしたとしても解決しません。感染者の増加が止まらなければ、解決にはならないからです。

 それに、多くの町医者はいま、ワクチン接種に追われながら、コロナ患者以外の患者さんを診ており、こちらもパンク状態です。

 

 先日、政府は、「中等症患者は自宅療養」とした方針を撤回し、「中等症患者の入院を継続する方針」に戻しました。しかし、それは単なる机上の話。現実的にはなんの意味もありません。ベッドも人出も足りないからです。

 中等症といっても、症状はさまざまで、示された指標だけで仕分けはできません。厚労省の「治療の手引き」では、息切れや肺炎を発症している場合は「中等症1」、酸素投与が必要な場合は「中等症2」に分類されています。しかし、現場でコロナを診てきた医師でなければ、的確な判断はできません。

 

 それにしても、異常に少ないPCR検査数を、なぜ政府が解消しなのか、私にはわかりません。その結果、私のような医者にも相談が来ます。

「熱と咳が続いているので検査を受けようと、保健所に電話したら断られました。都のコロナの電話相談にかけたら、厚労省のHPで探せと言われました。そこで、ネット検索で民間を当たりましたが、どこも予約でいっぱいでした。先生の伝手でありませんか?」

 現在、民間のPCR検査は、値段がさまざま。3000円のところもあれば、2万円取るところもあります。もちろん、行政検査はタダですが、すでに保健所は濃厚接触者も追えない状況なので、申し出てもOKは出ません。それにしても、2万円の出費は学生や若い会社員にはかわいそうです。

 

 多少の発熱、咳ぐらいなら、若い人は病院に行かないでしょう。そうこうするうちに症状が悪化し、PCRで陽性と判定されても、町の病院は診てくれません。保健所に電話がつながったとしても、自宅療養を指示されるだけです。

 自宅療養患者の一部は、重症化の危機に陥ります。熱が40度以上になり、呼吸も苦しくなって、救急車を呼びます。しかし、受け入れ先の病院がなく、何時間もたらい回しになるケースが続出しています。都内の救急で働くある医者は、救急車を病院に着けさせ、クルマの中で治療にあたったと言っていました。

 

 現在、感染爆発中のデルタ株は、これまでの株とは違います。感染力が強く、重症化するリスクも高いのです。さらに、ブレイクスルー感染(ワクチン接種後の感染)も起こしています。埼玉県では、87日、新規感染者889人のいち23人が2回接種済みでした。

 報道ではワクチン接種を終えていない50代の死者がよく取り上げられていますが、数から見ると70代や80代の死亡者数は50代の45倍です。

 さらに、後遺症が長引くことが報告されています。半年以上倦怠感が続き、嗅覚も戻らず、何度も病院を受診した患者さんがいます。コロナ治療は無料ですが、後遺症治療は有料です。

 

 もはや「緊急事態宣言」「まん防」などまったく効きません。「国民のために働く」「命と健康を守る」「安心安全」などと繰り返してきた首相も政府も打つ手を失っています。「自助、共助、公助」のうち「共助、公助」はなくなりました。感染・発症しても、自宅で自力で回復するほかないのです。

 
21/07/16●夕刊フジで「スポーツ医学から見た東京五輪」を連載中

とうとう強行開催されることになった東京五輪。開幕まであとわずかの今週、『スポーツ医学から見た東京五輪』を夕刊フジで5回、連載しています。

 コロナ禍で、まったく盛り上がらないなか、「アスリートファースト」という言葉もただ虚しく響くだけですが、今回の五輪は、スポーツ医学の進歩から見ると、画期的なことばかりです。もはや、アスリートの体は肉体改造の限界までいっており、それも遺伝子レベルで行われています。

 五輪レベルのスポーツは、もはや「努力」などとは無縁の世界です。メダルの「感動」といっても、それは一般人の感覚をはるかに超えた世界で行われているのです。

  連載2回目掲載分 

 
21/05/01●読売新聞サイト「ヨミドク」のコラム連載「死を想え」まとめ

月、1,2本のペースで、「死」に関してのエッセイを書いてきました。以下、この1年間のまとめです。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/column/fuke-takashi/

 

2020430日 「命の選別」が始まったコロナ緊急事態……高齢だから治療を諦めるよう求められたら!

2021324日 コロナ禍で子供の自殺が過去最多の499人、子供は時に現実よりも空想の世界が大きい……鬼滅は激しい世界と知っておきたい

202133日 森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?

2021117日 医療崩壊の最大の問題、どの患者を救うか選ぶ「トリアージ」は医者任せでいいのか?

2021111日 コロナ禍で、人生の始まりと終わりの仕事、産婦人科と葬儀場が窮地に

20201229日 人に知られず死んでいく「孤独死」、実は4割が現役世代、コロナ禍で増加の心配も

2020127日 コロナ禍の下、女性の自殺者が激増、日本の女性差別が生み出す悲劇

2020116

手術を3回体験して思う「30年前なら生きていない」!?……心臓病検査のすすめ

2020929

「迷惑をかけたくない」という日本人の死に方……藤木孝さん80歳の自殺に思う

2020730

ALS患者の嘱託殺人事件から、「死ぬ権利」「安楽死」について考える

202076

新型コロナで忘れられた「多死社会」の現実……毎日3500人以上が死亡、どう向き合えばいいのか?

202068

新型コロナ、高齢、糖尿、心臓病、前立腺がんの私に今できることは?

2020427

新型コロナ死亡者は報告数よりもっと多いのでは?

 
21/04/21●夕刊フジで「70歳定年どう生きるか?」を5回連載 PDF 印刷

今年の41日から、「70歳就業法」(正式には「高年齢者雇用安定法」の改正)が施行されました。これにより、事実上定年がなくなり、働きたい人は70歳まで働けるようになりました。しかし、これはいいことなのでしょうか?夕刊フジの連載(5回)で、現実に立って、高齢社会の生き方を考えます。

 その第1回の原稿を、ここに再録します。

  

「70歳就業法」で死ぬまで働くことに!? 「高齢者は働くことを望んでいる」政府の“美しき嘘”

https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210420/hea2104200003-n1.html

  この4月1日から「70歳就業法」(正式には「高年齢者雇用安定法」の改正)が施行されました。事実上定年がなくなり、「ハッピーリタイア」「余生」などという言葉は、ほぼ死語になったと思っています。 

 「70歳就業法」は、ひと言で言うと、希望する社員が70歳まで働けるように企業に努力義務を課すというもの。努力義務とはいえ、ほぼ強制です。そのため、企業は、現在65歳とされる定年制を廃止するか、定年を繰り上げるか、あるいは定年後も雇用を続けるなどの対応をせざるを得なくなりました。

 ついこの間まで、定年は65歳でした。それがいきなり70歳。しかも、今回は働くといっても、業務委託でもいいので、その場合は会社との雇用関係はなくなります。

  つまり、労災や雇用保険の対象外となり、年末調整がなくなって確定申告が必要となります。労働法の保護は受けられないし、過重労働を防ぐための労働時間規制も、最低賃金も適用されません。事故に遭っても労災による救済が不十分なうえ、社会保険料の事業主負担もなくなります。

 政府は「70歳まで働けます」「人生100年時代の新しい働き方」などとしていますが、表向きの話に過ぎません。

 私たち医者には、定年がありません。医師免許を持っている限り、いつまでも医者として働くことが可能です。だからといって、知力も体力も落ちれば、続けるのは不可能です。とくに外科医などは体力勝負なので、さすがに65歳を超えれば引退を考えます。

 会社員の場合も、はたして、これまでの通りの仕事が続けられるものなのでしょうか?

 

 政府もメディアも、高齢者が働き続けることを歓迎しています。いつまでも若くて元気であることが、奨励されています。しかし、多くの高齢者は、働かないで暮らしていけるなら、働きたくないはずです。ところが政府は、「高齢者はみな引退を望んでいない。いつまでも働くことを望んでいる」と言うのです。

 

 総務省の「就業構造基本調査」によると、「働きたいが働いていない高齢者」の割合は、60~64歳は15%、65~69歳は22%、70~74歳は27%と、年齢が上がるにつれ高くなっています。こうした調査をもとに、政府は「高齢者は働く意欲はあるものの、雇用の受け皿が整備されていない」として、今回の法改正をしたと説明しています。

 

 しかし、私に言わせれば“美しき嘘”です。医療現場で多くの高齢患者と接してきましたが、高齢者の本音は「働かなくてすむなら働きたくない」です。ただ、調査ではそんなことは言えません。「働かないと食べていけない」「年金だけではやっていけない」などとは言わず、単に「働きたい」と答えるのです。

 

 「70歳就業法」が施行される前の厚生労働省の調査では、70歳以上の高齢者が働ける制度を設けている企業数は、全企業の31・5%、約5万社でした。このうち3割以上が中小企業で、たとえば町工場などでは、慢性的な「人材不足」からそうしていたのです。ここに、「70歳就業法」が導入されたというわけです。

 

 人間、65歳を過ぎると老化のスピードは早まります。現在、「健康寿命」は、男性が72・12歳、女性が74・79歳。昔に比べ、いまの高齢者はたしかに元気です。しかし、70歳まで働けば、その後のわずかな期間しか健康で元気に暮らせません。「生涯働き続けで死ね」と言っているのに等しいのではないでしょうか。どう対処するべきか。次回に続きます。

 
21/02/25●夕刊フジで【医者の体験告白記 心臓手術3回を乗り越えて】を5回連載

これまで、私は3回、心臓の血管の手術を受けています。いずれも、南淵明宏医師にやってもらいましたが、この手術がなかったら、こうして元気で生きてはいられなかったでしょう。この体験を、ありのまま書いてほしいと「夕刊フジ」から依頼されたので、5回(1週間)にわたって書きました。

 以下、第1回原稿を再録します。

 

https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210216/hea2102160003-n1.html

【医者の体験告白記 心臓手術3回を乗り越えて】狭心症などの心疾患、今の医療では「早期発見」でほとんど助かる がんと同様に心臓検診受けて

 

 現在73歳の私が生きているのは現代医学の発展のおかげです。循環器系の手術が、ここ20~30年で急速に進歩したからです。「早期発見、早期治療」と言うと、がんを思い浮かべる方が多いと思いまが、これは心疾患(心臓の病気の総称)にも通じることです。私にこの思いが強いのは、これまで3回も心臓の手術を受けて助かったからです。医師の私が体験した最新治療を5回に渡ってリポートします。

 

 いまはコロナばかりが注目されていますが、「心疾患」は重大な病気です。日本人の死因の第1位「悪性新生物」(がん)に次いで、死因の第2位が「心疾患」であり、年間で約20万人が亡くなっています。このうち、約3万5000人が「急性心筋梗塞」、同じく約3万5000人が「虚血性心疾患」で、これらは発症する前に発見、早期治療をすれば助かることが多いのです。

  私が人生で3度目の狭心症の手術を受けたのは、昨年の10月でした。背中に重い荷物を背負っているような感じがし、動くとすぐ息切れがしたので、「また来たのか」と思いました。

 それで、すぐに心臓外科医の南淵明宏氏に連絡を取ったのです。南淵氏に関してはあえて書くまでもなく、心臓外科医として第一人者で、私はこれまで2回、彼に世話になり2012年に直接手術をしてもらいました。

 

 まず、彼のクリニックに行き、CTを撮ってもらうと、案の定、右冠動脈が詰まっていました。それで、昭和大学横浜市北部病院に入院し、ステント留置の手術を受けたのです。この経緯に関して、この連載の最後に書くので、ここでは、冠動脈の手術が、いまどのように行われているかを述べてみます。

 

 冠動脈は、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている血管で、心臓を冠状に取り巻いています。冠動脈には、左冠動脈、右冠動脈があり、左冠動脈は途中で2つに分かれ、前下行枝や回旋枝が左心室や心房を中心に血液を送っています。

 したがって、これが動脈硬化などで閉塞し、心臓が酸欠状態に陥ると狭心症になります。閉塞が突発的に起こると急性心筋梗塞となって、死に至ることがあります。助かっても後遺症が出るケースが多く、心臓疾患ほど怖いものはありません。

 

 じつは、私の父は70歳で突発性の腹部大動脈瘤破裂を起こし、その日のうちに亡くなっています。そのため、私もいずれ血管系の疾患に襲われるだろうという予感がありました。それが、現実化したのが、57歳のときです。このときは、朝方に左胸が痛くなり、冷や汗が出たので、知遇のあった南淵医師に連絡し診てもらったのです。

 

 診断は、左冠動脈前下行枝の一部の閉塞で、循環器内科でステント留置手術を受けました。2度目はそれから8年後、同じように痛みが出たので検査すると、今度は左冠動脈の上部がほとんど詰まっていた。このときは開胸してバイパス手術を受けました。かつて、狭心症などの心疾患は、手術法がありませんでした。ステント留置手術もバイパス手術もありませんでした。私が医学生のころは、心電図を撮ってただ冠拡張剤を処方するだけでした。いまでは早期発見すればほとんど助かります。

 

 ところが、みなさん、がん検診ほど心臓検診を受けません。私のように自覚症状が出てからでは手遅れの場合もあるので、検査を受けることをお勧めします。たとえば動脈瘤は、9割以上が自覚症状なく大きくなり、破裂して初めて症状が出ます。破裂してからでは遅いのです。

 
21/01/06●再び「緊急事態宣言」が。コロナはインフルエンザに置き代ってしまったのか?

今日の東京都の感染者数は、1591人で過去最高を記録した。また、全国では、1日の発表としては初めて6000人を超えて過去最多となった。もはや、感染拡大は止まらない状況だ。これまで後手後手を繰り返してきた政府は、とうとう尻に火がついて、ついに「緊急事態宣言」をする運びになった。

 

 それにつけて思うのだが、毎年、この季節にピークを迎えるインフルエンザはどうなってしまったのだろうか?

 

 厚生労働省は、毎年、9月から翌年5月末までの間、1週間ごとにインフルエンザ患者の発生状況をまとめて公表している。それによると、91日を含む第36週から第50週(2020127日~13日)の15週間の累積の患者数は、全国でたった383人。過去5年間の同期間の平均患者総数は約9万人だから、2020/21年シーズンの患者数は0.5%以下である。

 新型コロナウイルス感染が拡大する東京都では、第501週間の患者数はたった4人だった。

  

 ということは、コロナの感染拡大がインフルエンザにとって代ってしまった。そういうことなのだろうか?しかし、コロナに関しは、インフルエンザのような「季節性」はほとんどないと言われている。真夏の南アフリカで変異種が出現し、感染拡大が止まらないのだから、「冬に流行する」という特性はないはずだ。

 インフルエンザはどこに行ってしまったのか? 本当に不思議である。

 
21/01/03●コロナ禍で「在宅死」が増加。在宅死を選択するということとは?

 このテーマで、「経済界」2月号の連載「人生100年時代の養生訓」に書きました。以下、収録します。

 

コロナ禍で進む病院離れ。幸せな「在宅死」という選択は可能か?

  コロナ禍は高齢者の生活を直撃した。とくに、人生の後半を穏やかに過ごそう、そうして安らかに死んでいきたいという人々の生活を変えてしまった。多くの人は、病院が嫌いだ。だから、本当はいくら死期が近づいたと思っても自宅で過ごしたい、施設や病院で過ごしたくないと思っている。しかし、この思いは、現在の医療体制ではかなわない。それで、仕方なく、施設や病院に入っているのだ。 

 厚労省は「病院から在宅へ」を進めてきたが、在宅医不足、介護者不足で、これまでほとんど実現していない。それで仕方なく、2018年から制度変更して「介護医療院」を新設した。ここは、医療・介護・住居がセットになったもので、死を迎えるまでの「終のすみか」になり得る。ところが、制度はできても、まだまだまったく足りていない。

 その結果、いまでも多くの人が病院で死を迎えているのが実情だ。日本の「病院死」は、死全体の約8割に達している。これは、5割以下の欧米諸国に比べて圧倒的に多く、幸せな死に方とは言い難い。

 

 そんなところにコロナ禍がやってきたのである。「医療崩壊」になってしまうのは、当然だ。

 

 懇意にしている都内の拠点病院の院長はこう言う。

「コロナ禍になってから、患者さんの病院離れが進んでいます。一つは、コロナが怖いということ。通院はもとより、入院も減っています。感染したらたまらないというのです。もう一つは、入院してしまうと家族に会えなくなること。こういう方は、終末期患者さんに多く、家族と最期のときをいっしょに迎えられないのを嫌がるのです」

 さらに、病院側の事情もある。在宅患者の緊急入院の約4割が肺炎や尿路感染などの発熱性疾患である。こうした患者に対し、新型コロナ感染症の除外診断ができていなければ入院を拒否するところは多いのだ。

 

 このような“病院離れ”のせいか、在宅での看取り件数が大幅に増えている。在宅医や在宅専門診療所からは、「最近、本当に看取りが多くなりました」という声が聞こえてくる。これは、統計にも現れている。

 「病院死から在宅死」へ。なかなか進まなかったことが、コロナ禍で進むのは皮肉な結果だが、ここで、忘れてはならないことがある。それは、前記したように、在宅医療、在宅死の環境が日本では整っていないことだ。

 私の時代は、具合が悪くなったら、まず近所の医者に診てもらい、その医者が往診に来てくれて、自然にかかりつけ医になり看取りまでしてくれた。しかしいまは、自ら在宅医を確保し、訪問看護サービスを受けなければ、在宅死はできない。

 

 単縦な話、自宅で看取りをするには、三つのことをクリアしなければならない。一つ目は、同居する家族がいること。いうまでもなく、看取りの場には家族がいる必要がある。二つ目は、在宅医を確保し、24時間対応の訪問看護師のサービスを受けること。三つ目は、終末期治療にあたってどこまでするかを自身で決めるか、家族と話し合って決めておくこと。つまり、「生前意思」をはっきりさせておく必要がある。

 普通、自宅で死ぬことを「在宅死」と呼ぶが、厚労省の統計では、老人ホームなどでの死も「在宅死」としている。そして、それができるのは4人に1人。コロナ禍で、在宅死が増えたというのは、施設での死がほとんどと思われる。

 人生を自分の家で幸せに終えるためは、生前のよほどの努力が必要である。コロナ禍は、このことを私たちに教えてくれている。

 
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