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25/08/02●最高気温40℃超え、酷暑が日常になったら?

猛烈な暑さが続いている。今年は、「記録的な猛暑」と言われた昨年夏を上回る。先月の30日、京都府福知山市では最高気温が40度に達し、全国で今年初めての「酷暑日」となった。

 連日のように、ニュースは「暑さ」と「熱中症」を報道しているが、もはや「暑さ」がニュースとなるのはおかしい。関心は、地球温暖化がどうなるか?それにどう対処するか?にある。

 さて、気温が40度になると、人間はどうなるか?以下、生成AIにまとめてもらった。

 

《気温が40度を超える状況では、熱中症のリスクが非常に高まります。体温調節機能が追いつかず、体温が上昇し、最悪の場合、死に至る可能性もあります。具体的には、以下の様な状況が考えられます。

 

熱中症のリスク増大:体温が上昇し、体温調節機能が失われることで、熱中症の症状が悪化し、重症化する可能性があります。

体温上昇:熱中症になると、体温が40℃を超える高熱を生じることがあります。これは生命の危機的ラインとされる42℃を超えることもあり、非常に危険です。

タンパク質の変性:体温が42℃を超えると、体内のタンパク質が変性し始め、細胞が障害を受け始めます。

臓器の機能不全:高体温が続くと、心臓や脳などの臓器に深刻なダメージを与え、機能不全を引き起こす可能性があります。

意識障害:体温が上昇すると、意識が朦朧としたり、失神したりする可能性があります。

死に至る可能性:42℃以上の高体温が続くと、短時間でも不可逆的な変化が生じ、死に至る危険性が高まります。》

 
25/07/30●超人ハルク・ホーガン死去で、読売新聞ウエブ「ヨミドク」に寄稿

 読売新聞ウエブ「ヨミドク」で、『リングドクター・富家孝の「死を想え」』を連載寄稿中ですが、24日に死去したハルク・ホーガンについてと書いて欲しいと担当者から要望があり、思い出をまとめました。

 掲載文は、私が送ったものより短くまとめられてあるので、ここでは、原文をそのまま掲載してみます。

 なお「ヨミドク」のタイトルは、『追悼 ハルク・ホーガン氏 「超人はぼうぜん自失状態で突っ立っていた」…アントニオ猪木「舌出し失神事件」のリングドクターが語る”現場の真相”』となっています。

https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20250728-OYTET50016/#goog_rewarded

 

“超人”ハルク・ホーガンとアントニオ猪木の忘れられない思い出。

71歳での突然死は「早逝」なのか?

 ホーガンとアントニオ猪木

 “超人”は“超人”ではなかった。深夜(日本時間)の訃報に、まずそう思いました。ハルク・ホーガン(本名・テリー・ボレア)を呼ぶときは、必ず“超人”をつけて、テレビの実況中継では「超人ハルク・ホーガン」とアナウンスされていたからです。享年71歳でした。

 私は、医者のならいとして、訃報を聞くと必ず死因を確かめますが、報道はみな「cardiac arrest」(カーディアック・アレスト)となっていたので「心停止」。心臓発作、心筋梗塞などによる突然死と思われます。

 救急隊が駆けつけたときは、家族に囲まれて息絶えていたといいます。

 彼の死に対して、トランプ大統領も哀悼のメッセージを出しました。メディアも大報道で、「1人の偉大なアメリカ人レジェンドが亡くなった」と伝えていました。彼は、プロレス団体「WWF」(現WWE)のスーパースターであるばかりか、映画やドラマなどにも数多く出演したスーパーセレブでした。

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 ハルク・ホーガンの名を耳にして、私が真っ先に思い出したのは、1983年6月、蔵前国技館でのアントニオ猪木との対戦での「舌出し失神事件」です。

 当時、私は新日本プロレスのリングドクターをしていたので、リングで脳震盪を起こして倒れている猪木さんに駆け寄り、すぐに脈をとって、血圧を測りました。

 血圧はそれほど下がっていたわけではなく、頭の外傷もたいしたことはありませんでした。しかし、失神しているので、これは「これはまずい」と担架に乗せ、救急車を呼びました。場内は騒然とし、メディアも大騒ぎ。その後、テレビニュースも一般紙も大きく報道したので、プロレス史に残る事件と言っていいと思います。

 ただし、私は「これはまずい」と感じながら、どこかで「猪木さんの思う壺ではないか」と思ったのです。猪木さんは人気レスラーなのはもちろんですが、それ以上にショーマン(興行師)であり、エンターテイナーだったからです。

 アントニオ猪木「舌出し失神事件」

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 プロレス団体のトップレスラーが、練習、稽古風景をメディアに公開したのは、新日本プロレスのアントニオ猪木が最初です。こういう演出で、猪木さんはプロレス人気を盛り上げていきました。

 そして、「世界中にあるベルトを統一する」ということでIWGPリーグをつくり、その優勝戦でホーガンと対戦したのです。当然のことながら、IWGPは「猪木の、猪木による、猪木のためのもの」と言われましたが、その優勝戦で失神KO負けしたのです。

 私は、あのとき猪木さんがどう思っていたか、亡くなるまで聞いたことはありません。ただ、失神しながらも「シメシメ」と思っていたと確信しています。

 思い出すのは、ホーガンの慌てようです。まさかという表情で、茫然自失状態で突っ立っていました。

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 ハルク・ホーガンは1980年に来日し、当時、新日本プロレスがWWFと提携していたので、その後は、日本を主戦場にしました。猪木さんの「NWF王座」の挑戦者となったり、タッグを組んだりして、あっという間に人気者になりました。

 南国フロリダ育ちで、高校時代はボディビルをやり、大学時代はロックバンドをやっていました。プロレスのファンだったので、当時のスーパースター、ビリー・グラハムの門を叩きましたが断られ、独力でデビューして、アラバマやテネシーなどのローカルで活躍していました。

 それを、レフェリーのタイガー服部さんと猪木さんが日本に引っ張ってきたのです。日本に来た当時は、格闘技の経験が浅く、猪木さんは「なんもできない木偶の坊ではないか」とぼやいていました。しかし、覚えは速く、あれよあれよという間に本格的なレスラーになりました。

 往年のファンなら右手人差し指を高々と上げ「イチバァーン!」と叫ぶ決めポーズを覚えているでしょう。あれをやり出したのは来日2年目のこと。リングコスチュームも黒のショートパンツに白字で「一番」と書いたものにし、それが評判になると、「一番」のロゴ入りのタンクトップやTシャツ、ハッピもつくりました。

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 ハルク・ホーガンの決め技は、「アックスボンバー」でした。右腕をL字型に曲げ、「ラリアット」(スタン・ハンセンの決め技)のように肘を相手に叩きつける技です。これは、たしかマサ斎藤さんがホーガンのためにと考えた技です。

 猪木さんの「卍固め」「コブラツイスト」とホーガンの「アックスボンバー」の子弟タッグは、当時の最強タッグでした。子供たちは、リングサイドやテレビの前で熱狂し、学校ではプロレスごっこをやる。プロレスにとっては、本当に幸せな時代でした。

 そんなとき、人気テレビドラマ『超人ハルク』主演のルー・フェリグノと一緒に写真を撮る機会に恵まれ、ボディビルダーのフェリグノより巨大な肉体が評判を呼びました。

 それで、ネックネームを「ハルク」にしたのです。

 日本で大人気になったハルク・ホーガンは、その勢いでアメリカに戻り、WWFのチャンピオンとなって、全米のスーパースターになりました。ただ、向こうでのレスリングのスタイルは、日本でのものと違っていました。適応力がすごいのです。

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 71歳の突然死ですから、「早すぎる」という声が聞こえてきます。しかし、冷静に考えると、そうは言えないのです。

 一つは、アメリカ人の平均寿命が、日本人に比べて圧倒的に低いからです。米疾病対策センター(CDC)のデータによると、男性は73.2歳、女性は79.1歳(2022年)で、男女平均76.4歳です。これに対して、日本人は、女性は87.1歳で男性81.1歳(2025年7月、厚労省発表)なので、「早すぎる」と感じてしまうだけなのです。

 アメリカは人種のるつぼであり、多民族共生の国ですから、人種によっても平均寿命が違います。白人は76.4歳、黒人は70.8歳、アジア系は83.5歳、ヒスパニックは77.7歳、先住民は65.2歳です。

 ちなみに、ハルク・ホーガンは白人ですが、父方のルーツはイタリア、パナマ、スコットランド、フランスの混血であると、プロファイオに書かれています。

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 もう一つ、「早逝」ではないと言えるのは、レスラーは一般的に早死にだからです。

 猪木さんの場合は、79歳まで生きられたので、早死にとは言えませんが、有名レスラーの多くは早死にです。

 ジャイアント馬場(享年61歳)、ジャンボ鶴田(享年49歳)、ブルーザーブロディ(享年42歳)、三沢光晴(享年47歳)、ディック・マードック(享年50歳)、橋本真也(享年40歳)、冬木弘道(享年43歳)-----挙げていくときりがありません。

 レスラーに限らず、アスリートは早死にする人が多いのです。とくに、力士はおしなべて早死にです。これは、競技のために常に体を鍛え続けた結果、一般の人より早く、「生命的な限界」に達してしまうからだと、私は考えています。 

 私は、学士時代に相撲をやり、後年、母校の相撲部の監督をやり、ボクシングやプロレスのリングドクターを務めました。その私の経験から言うと、レスラーや力士の短命は偶然の結果ではありません。

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 レスラーは日ごろ鍛えた強靭な肉体の持ち主ですから、ちょっとやそっとのことでは死にません。しかし、競技に適した体づくりのための飲食と運動は、歳を経るにしたがい響いてくるのです。

 一般的にレスラーを含めたアスリートの死因の多くは、心疾患です。がん死は少ないのです。このことが、それを物語っていると思います。

 私は、1981年から十数年間、新日本プロレスのリングドクターをやり、多いときで年間180試合のうち120試合ほどに帯同して地方を回りました。

 地方の巡業先では、レスラーたちと飲食をともにしました。その飲食は「暴飲暴食」と言っていいもので、それがたたって後年糖尿病になり、狭心症も患って、これまで3度手術しました。猪木さんも糖尿病になり、生涯治療を続けました。

 現在、78歳になってなんとか生きながらえていますが、糖尿病と狭心症の悪化には細心の注意を払っています。食生活のバランスを保ち、薬を飲み、定期的に検査を受けています。

 そしてつくづく思うのは、若い頃からの生活習慣は本当に大事だということです。

 
25/07/26●日本人の平均寿命 女性は87.13歳で40年連続1位 男性81.09歳

7月25日に厚生省が発表したところによると、去年の日本人の平均寿命は女性が87.13歳、男性が81.09歳で、女性は平均寿命が公表されている国の中で40年連続で1位となった。

▽女性が87.13歳
▽男性が81.09歳で
前の年と比べて▽女性は0.01歳下回り、▽男性は同じ。

平均寿命が公表されている国の中では、▽女性は40年連続で1位、▽男性は、スウェーデンやスイス、ノルウェーなどに次いで6位。

 
25/07/18●内視鏡検査後に死亡 説明義務違反で賠償命令 東京地裁 Eメール

医療過誤の裁判で、医療者側が敗訴することは稀。その稀なことが起こった。

 訴訟は、4年前の2021年に、東京の順天堂大学の病院で、内視鏡検査を受けた70代の女性が2日後に亡くなったことに対して、遺族が病院側を訴えた。病院側に死亡するリスクについての説明義務違反があったというのだ。

 この訴えを東京地方裁判所が認め、6000万円余りの賠償を命じる判決を言い渡した。

 報道によると、4年前の2021年、東京 文京区の順天堂大学医学部附属順天堂医院で、胆道の内視鏡検査を受けた都内の72歳の女性は、検査のあと激しい腹痛を訴えて2日後に亡くなった。不審に思った遺族は、検査の方法に過失があり、事前にリスクについての十分な説明がなかったとして、病院を運営する法人と医師に賠償を求めたという。
 病院側は「死亡するリスクも説明していた」などとして争ったが、認められなかった。ただし、この死亡事故は、説明義務違反が問題としても、検査をした医師の技量が下手だったことが最大の原因であろう。

 
25/03/10●高額療養費の負担上限をついに見送ったが、結局は問題の先送り!

国会でもめにもめていた高額療養費の負担上限引き上げを、自民党政府はついに断念した。あれほど「やる」と言ってきた石破首相が、「患者が不安なまま見直しを行うのは望ましくない」など、当たり前の理由をついに認め、秋までに改めて方針を検討すると表明した。

 しかし、この見送り決定は、どう見ても次の参議院選対策。ただの批判交わしで、医療制度そのものを見据えたものではない。

 この問題の背景にあるのは、医療費の増大についに国家予算が耐えられなくなっているということ。政府の社会保障審議会・医療保険部会では「大幅な見直し(大幅な引き上げなど)を行うべき」とする積極派と、「見直しはやむを得ないが最小限に」とする慎重派に分かれて議論されてきたが、方向はともかく引き上げであることは間違いない。

 最近は、なにかというと「財源は?」だが、ここまで無駄な税金使いをしているのだから、削減など簡単にできるはずである。議員数の削減、議員報酬のカットなど、絶対にやらない議員たちでいくら議論しても、国民を裏切る政治しかできないに決まっている。
 
25/03/08●「ヨミドクター」に寄稿したプロレスラー西村修の早世記事が大反響

読売新聞による医療・健康サイト「ヨミドクター」に寄稿した『「食道がん」最大の敵は? プロレスラー西村修の早世に改めて思う』が1日で65万アクセスがあったと、担当者から連絡があった。

 有名人の死に関しての記事は、医療記事の中でもとくに反響が大きい。西村修はレスラーとしては地味ながら、オーソドックなレスリングで人気があり、文京区の区会議員もしていたので、早死にを惜しむ声は大きい。なんといってもまだ53歳、いくには早すぎる。

 食道がんは、がんの中でも難治性で、発見が遅れやすい。

 以下が「ヨミドクター」の記事。謹んで、謹んでお悔やみ申し上げたい。

https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20250305-OYTET50000/?catname=column_fuke-takashi

  そして、葬儀の状況と、西村と師匠、藤波辰爾の秘話を紹介した記事「西村修さん告別式 その後に起こった“奇跡” 藤波辰爾のSNSに西村さんのメッセージ「今回退院致しましたあかつきには…」(ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム)に、涙が止まらなくなったことを書き添えておきたい。

https://encount.press/archives/762875/

 
25/01/31●長年、お世話になった「夕刊フジ」に休刊に思うこと

夕刊紙「夕刊フジ」、今日(1月31日)をもって休刊となった。創刊は1969年だから、なんと半世紀以上も、キヨスクなどの新聞スタンドに置かれてきたことになる。会社帰りのサラリーマンが買う夕刊紙として、その後に創刊された「日刊現代」とともに親しまれてきたが、もうそう時代はなくなった。

 読者は高齢化し、紙面も大きく変わった。本当に感慨深い。

 というのも、私ほど、「夕刊フジ」にお世話になった医者はいないのではと思うからだ。思い返せば、取材を受けるのはもちろんのこと、短期連載(5〜10回)の医療コラムは何回もやらせてもらった。

 ここ10年余りの、主な連載企画を以下列記してみると、それぞれに思い出がある。

「死に方事典」(2014年)「続・死に方事典」(2016年)「幸せな死に方」(2019年)「医療過誤、医者と闘うための心得」(2018年)「長生きは幸せか」(2018年)「スポーツ医学と五輪」(2021 年)「追悼アントニオ猪木」(2022年)「糖尿病の真実」(2023年)「有名人早死、75歳の壁」(2024年)「終末期治療拒否せよ」(2024年)など。

「夕刊フジ」は、公式サイトの「zakzak」も1月31日で更新を休止し、今後は新たなコンセプトによる芸能・エンタメニュースのサイトになるという。

駅売スタンドの休刊のお知らせ

 
24/09/15●拙著『それでもあなたは長生きしたいですか?』が自衛隊広報誌で紹介

拙著『それでもあなたは長生きしたいですか?』(ベストブック)が自衛隊の広報誌「隊友」9月15日号で紹介されました。自衛隊広報誌が私の本を取り上げるとは、少々驚きです。

 

 
24/08/08●東京女子医大、ついに岩本理事長を解任! 今後は身売りが必至かも?

まさに、大学を私物化した点で、日大と同じ。どうなるのか注目されていた東京女子医科大学は、8月7日、臨時の理事会を開き、トップの岩本絹子理事長をついに解任した。

  2020年に創立120周年を迎えた

 すでに、不透明な資金の流れなどで警視庁の捜索が入っており、こうなるのは当然の流れ。岩本理事長が理事会を耳取ってから約10年、女子医大はガタガタになり、私の知り合いも何人か、ここを去った。

 この不祥事報道は、週刊文春が独走して来たが、これまでの記事が、第三者委員会で裏付けられたかたちになった。それにしても、なぜ、彼女が権力を握れたのかはよくわからない。

 
24/07/17●「認知症」行方不明者が1.9万人と過去最多、99%は届け出が受理されてから3日以内に発見も----。

歳をとるに連れて、やはり、認知症がいちばん怖くなる。なったらどうしようと不安が募る。しかし、ほぼ予防は無理。結局、老化がどう進んでいくかは、運命としか言いようがない。 

 このほど、警察庁が発表した認知症データは、やはりと思えるものだ。 2023年に警察へ届け出があった認知症の行方不明者は1万9039人だったといい、前年2022年に比べて330人増えており、過去最多だというのだ。

 この警視庁の統計は、2012年から開始されており、毎年増加してきている。今回の行方不明者の内訳を見ると、最も多いのは80代以上で6割を占めている。次に多いのが70代で3割超え、次いで60代で826人、50代で140人、40代で9人、30代で2人となっている。

 ただし、行方不明者のうち、99%は届け出が受理されてから3日以内に発見されている。とはいえ、このうち遺体で見つかった人が502人というのだから、やはりショックである。

 警視庁のデータらしいのは、行方不明者の捜索に使われたツールだ。2024年7~12月にドローンで3人、GPS機器によって71人が発見されている。また、直轄の警察犬が認知症の行方不明者の捜索をした件数は3230件となっている。

 
24/05/08●「日刊ゲンダイ」で週1回連載『元新日ドクターが語る理想の晩年』をスタート

編集部から、2年前に亡くなったアントニオ猪木さんを偲びながら、晩年をどう生きるか?死をどう考えるか?をテーマにして、エッセイを書いてほしいとの依頼を受け、今週から始めました。

 タイトルは『闘魂・猪木はパッと燃えた 元新日ドクターが考える理想の晩年』です。

 第1回は、「全身性アミロイドーシス」という厚労省指定の難病、いわゆる「不治の病」を受け入れ、運命に従って逝った猪木さんが、なぜ闘病姿を余すところなく公開したのかについて書きました。猪木さんというのは、本当に飾らない人でした。すべてを受け入れて、ありのままに生きる人でした。

 寝たきりになったときに訪ねると、ベッドの上で「格好悪い姿をさらけ出すのも、猪木だからです」と言って笑うのです。その笑顔が、いまも忘れられません。

  

 
24/04/02●日小林製薬の「紅麹」の健康被害問題が続く。健康食品の多くは効果は根拠が不明

小林製薬が製造した「紅麹(べにこうじ)」配合サプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、厚生労働省は2日、4月1日時点での入院者数が166人になったと明らかにした。死者は5人。相談件数は連日増えている。

 これまでの報道だと、どうやら「プベルル酸」が犯人ということになるらしい。紅麹原料は、いずれも紅麹菌の同じ株から作られていて、一部に想定していない「プベルル酸」とみられる成分が含まれていたため、それを摂取した人が健康被害にあったという。

 いずれにしても、こうしたことが起こる背景には、健康食品、サプリメントのブームがある。それを作り出しているのは、やはり、高齢社会だろう。歳をとって健康を害するほど、人は何か頼る。クスリではかなわない。健康維持を健康食品に求まる。しかし、私は医者という立場から、健康食品にはきわめて懐疑的だ。

 現在、健康食品の市場規模は、メーカー出荷金額ベースで約9000億円である。コロナ禍で一時的に縮小したが、昨年から大幅に回復している。健康食品一般に言えることは、効果をうたってはいるものの、その根拠が不明だということだ。

 
24/02/28●75歳前に亡くなる有名人が多いのは、なぜか? 「75歳の壁」を来月、連載へ。

「先生、最近、75歳前に早死にする有名人が多いと思います。なにか理由でも?」と、最近、よく聞かれます。そう言われて、昨年来の物故者を調べると、たしかに多いのです。

 最近では、八代亜紀さん(歌手、73歳、膠原病・促進間質性肺炎)が亡くなられました。以下、昨年から今年にかけて、75歳を待たずに亡くなられた主な有名人のリストです。

 

 坂本龍一さん(ミュージシャン、享年71歳 直腸がん・肺転移)、谷村新司さん(ミュージシャン、享年74歳 急性腸炎)、伊集院静さん(作家、享年73歳 肝内胆管がん)、門田博光さん(元プロ野球選手、享年74歳 糖尿病・脳梗塞)、大橋純子さん(歌手、享年73歳 食道がん)、もんたよしのりさん(ミュージシャン、享年72歳 大動脈解離)、北別府学さん(元プロ野球選、享年65歳 成人T細胞白血病)寺尾常史さん(元寺尾、享年60歳 うっ血性心不全)長岡末広さん(元朝潮、享年67歳 小腸がん)、KANさん(歌手、享年61歳、メッケル憩室がん)

 

 「人生100年時代」と言われるいま、75歳前に逝くのはいかにも早すぎます。

 日本人の平均寿命、男性81.05歳、女性87.09歳から言っても「早死」でしょう。

 しかし、「健康寿命」は男性72.68歳、女性が75.38歳です。平均寿命と健康寿命の差は大きく、健康寿命で志望者が大きく増えるのが、統計にも現れています。

 つまり、75歳前後に、死に至る大きな壁があるのです。いわゆる「75歳(後期高齢者)の壁」です。この壁をどう乗り越えるかは、それ以前の生き方で決まります。このことを、来月、「夕刊フジ」で連載します。

 
24/01/10●拙著『それでもあなたは長生きしたいですか』(ベストブック刊)が1月15日に発売されます

これまで色々な媒体に書いてきた死をめぐる問題、を1冊の本にまとめました。サブタイトルは、「終末期治療の真実を語ろう」となっていますが、内容は、それだけでなく多岐にわたっています。

 がん、心疾患、糖尿病、認知症------死に至る病についての対処法はもちろん、どのように健康で長生きするかについても余すところなく書きました。

 

■ベストブック社にウエブ↓

http://www.bestbookweb.com/book.php?num=900

 以下、「目次」と「はじめに」を公開します。

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 《目次》

[Part1] 長生きは幸せか?

1、「人生100年時代」の裏でメディアが取り上げない「百寿者」の現実とは? 

2、健康でなければ長生きは苦痛。80歳まで生きられればいいと考えている人が大半

3、長寿の不都合な真実。長生きすればするほど「貧困地獄」に落ちる

4、長生き老人を食い物にする、ぐるぐる病院、ブラック病院

5、現代の「姥捨山」か? 終末期に入る「療養型病院」の現実

6、「看取り」とはなにか?「終末期治療」(ターミナルケア)との違いは?

7、「緩和ケア」を受けたくとも受けられないという現実 

8、この日本で、究極の選択「安楽死」は可能か?

 

[Part2] 悔いのない死に方

9、「65歳」「75歳」「85歳」--- 長寿を阻む10年ごとの「壁」とは?

10、狭心症の手術を3度体験して思う、心疾患による突然死は防げる

11、「65歳の壁」で「フレイル」を感じたら始めるべきこと

12、体力がガクッと落ちる「75歳の壁」で留意すべきこと

13、「85歳の壁」超えの最大の問題は認知症。認知症は防げないのか?

14、体を動かしてもいいが鍛えてはいけない。鍛えても長生きはできない。

15、誰もが願う「苦しまないで死ぬ」ことは可能か?

16、「寝たきり」にならないためにできることとは?

17、長寿を左右するのは「実年齢」より「主観年齢」 

 

[Part3] 有名人の死に思う

18、哀悼!「燃える闘魂」。アントニオ猪木さんの壮絶死

19、高嶋忠夫さんの在宅死で思う。家族と地域の支えなくしては「願い」はかなわない

20、大橋巨泉さんのがん死が浮き彫りにした「在宅緩和ケア」の問題点

21、末期ガンの手術より“最後の時間”を選んだ愛川欽也さん

22、なぜすぐ手術をしなかったのか?小林麻央さんの選択

23、渡辺裕之さん、上島竜兵さんはなぜ自殺を?高齢者ほど自殺率が高く「うつ」になりがち

24、「がん放置療法」近藤誠氏の死去に思う、“異端”でも患者に選択肢を与えた功績は大きい

25、61歳で敗血症、あまりに早い渡辺徹さんの死が物語るのもの

 

[Part4]「孤独死」しないために

26、2040年、高齢者の10人に4人が「独居老人」に! 

27、誰とも繋がらず社会孤独死した場合、どうなるのか?

28、有名人が続々と孤独死、その死因を考えて思うこと 

29、病院で死ねない、「在宅孤独死」の時代がやって来た! 

30、「看取り難民」にならないためにすべきこととは? 

31、孤独死を無事に迎えるための「かかりつけ医」の選び方

32、「孤食」「貧食」「偏食」が死期を早め、孤独死を招く

 

[Part5] がんで死ぬ幸せ

33、前立腺がんと診断されて4年。私はなぜがんを放置しているのか?

34、がんで死ぬのは本当に幸せなのか?

35、手術の決め手は外科医。「神の手」外科医もいれば「下手」外科医もいる

36、「5年生存率」「10年生存率」からがんと診断されたらどうするかを考える

37、5大がん「大腸がん」「乳がん」「胃がん」「肺がん」「肝臓がん」の対処法

38、発見されたときは手遅れ。難治性がんの「膵臓がん」「胆嚢・胆道がん」どうする?

39、「もう手の施しようがありません」と余命宣告を受けたら、どうしたらいいか? 

40、無駄ながん検診、ほぼ無意味な75歳からのがん検診

41、日本でも始まった「がんゲノム医療」は夢の治療法なのか?

 

[Part6]糖尿病の不都合な真実

42、私も患者の1人、投薬、食事療法で生きている

43、糖尿病が治らない病気というのは本当か?

44、血糖値とはなにか? 基準値にはグレイゾーンがある

45、高血糖より怖い低血糖。即座に糖分補給を!

46、昔は「ぜいたく病」、いまは「貧困病」という不都合な真実

47、医療側から見た糖尿病。これほど儲かる病気はない

48、血管ボロボロ!糖尿病の本当の怖さは合併症にある!

49、血糖値を下げるクスリについて知っておくべきこと

50、糖尿病になりやすい人、なりにくい人

 

[Part7]安楽死は殺人なのか?

51、人工透析中止患者の死が問いかける「尊厳死」と「安楽死」

52、ASL患者の嘱託殺人事件から、「死ぬ権利」「安楽死」の容認を訴えたい

53、「殺人看護婦」1人の犯罪で終わらせていいのか? 現代の「姨捨山」と言える終末期治療の深い闇

54、現代の「姥捨山」、終末期に入る「療養型病院」の現実

 

[Part8]医療過誤を追及して

55、1年間に約8万人が医者に殺されている!

56、医者と患者は「嫁姑関係」、闘いは「異種格闘技」

57、示談がほとんど。しかし過誤が明らかなら告訴を!

58、どうやって病院と闘うか? 弁護士選びと訴訟の進め方

59、医者は平気でウソをつく。間違いは絶対認めない

60、死因を疑ったら病理解剖でなく司法解剖を求めよ!

61、なぜ医者だけが刑事責任を問われないのか?

62、医療過誤にあわないためにすべきこと

 

[Part9]認知症で死ぬということ

63、認知症患者はどう死んでいく? 安楽死は可能か?

64、認知症は老化の現れ? 進行は? 認知症を判定する有効な検査とは?

65、認知症のクスリはあるが、進行を遅らせる可能性があるだけ

66、最新の認知症薬は効くのか?認知症医療を変える「レカネマブ」とは?

67、人はなぜ老化するのか?長寿には限界がある

68、「長寿遺伝子」を探す旅。 腹八分は本当だった!

 

《はじめに》

   また一歩死に近づいた。75歳を超えて後期高齢者の仲間入りをしてから、私は日ごとにそう思うようになりました。    

 とくに、昨年(2022年)、コロナ禍のなかで、「突発性難聴」になり、10日間の入院生活を送ったときから、その思いが強まりました。

 突発性難聴というのは、その名のとおり急に耳が聞こえなくなる病気です。突発性が付く病気というのは、たいていの場合、原因がわからないということです。ただし、私の場合は、「糖尿病」を発症しているうえ、これまで3度も「狭心症」による心臓の手術を受けています。また、「前立腺がん」も患っています。

 つまり、老化が進んで、それがいろいろなかたちで身体に現れているのです。その一つが突発性難聴でした。原因がどうのこうのより、そう考えるのが自然です。

 

 入院中のベッドのなかで、「後期高齢者になるというのはこういうことなのか」「老化とはこういうことなのか」と、改めて思いました。そして、「あと何年生きられるだろうか」と、初めて大きな不安を感じました。

 それまで、病気になってもなんとかやり過ごしてきましたが、これからはそうはいかないかもしれないという不安がよぎったのです。

 別に私は、死を恐れているわけではありません。そのときが来たら、誰にも迷惑をかけず、自然に逝く覚悟はできています。ただ、自分の死がどのように訪れるかわからないことが不安なのです。

 

 医者になって半世紀、開業医、病院経営、医療コンサルタント、プロレスのリングドクター、大学の講師、医師派遣業、老人・介護施設の顧問兼アドバイザー、そして医療ジャーナリストと、さまざまな経験をしてきました。

 そんななかで、これまで数多くの死を間近に見てきました。死期が近い方、また、そのご家族からの相談も山ほど受けました。年間、100を超える死亡診断書を書いたこともありました。

 それで思うのは、人生がさまざまなように、死もまたさまざまであるということです。そして、そのさまざまな死のなかで、ご自身の望みどおりの死を迎えた人は少ないということです。

 

 私は代々続く医者の家に生まれ、きょうだいも医者になったため、医者に囲まれて育ちました。そのため、自然の流れとして医者になったのです。そのため、命を救うという強い使命感を持って医者になった方とは、考え方が違うかもしれません。ただ、これまで多くの死を見てきたので、私なりの死生観を持つようになりました。

 私の死生観に少なからず影響しているのは、やはり父の死に方です。息子の目から見た父は、歳をとっても元気で、毎日、訪れる患者さんの診察に追われていました。それが70歳のとき、ある日突然、突発性の大動脈解離を起こし、その日のうちに逝ってしまいました。いま思えば、これも老化の突然の現れだったと思います。

 死に方ということで言えば、父の死は、いま理想とされている「ピンピンコロリ」(病気に苦しむことなく、直前まで元気で楽しく生き、最後はコロリと死ぬ。最近は「PPK」とも呼ばれている)です。

 

 昔は、老人はほとんどが病気持ちでした。病気と老化は同じもので、持病を持たない老人は少なかったのです。老人と言えば、それはなんらかの持病を抱えた死期の近い人でした。

 しかし、いまは違います。人生100年と言われるようになり、高齢でも働き続ける元気な老人が増えています。ただし、それは目に見える範囲での話で、じつは施設や家庭には寝たきり老人も多いのです。その存在が見えないだけです。

 私はこれまで、終末期の延命治療がいかに人間の尊厳を損なうものか、つぶさに見てきました。寝たきり老人にとって、長生きほど残酷なことはありません。はっきり言って、自分の力で生きられなくなった人間にとっては、治療による長生きは無意味です。

 こうした思いから私は、延命治療だけはしてほしくないと願い、家族にもそう話してきました。父のように1回の発作で死ねればいいのですが、助かって寝たきりになるのはまっぴらごめんです。

 

 本書は、私がこれまでメディアに書いてきたコラム、エッセイを再編集したものと、新たに書き下ろしたものとで成っています。

 ここ数年、私が連載コラム、エッセイを書いてきたのは、『夕刊フジ』『月刊経済界』『ヨミドクター(読売新聞の医療・健康ニュースのウェブ)』などです。これらのコラム、エッセイのテーマのほとんどが、高齢者の「健康」「病気」「老化」「死」にまつわるものです。そんななかで、反響が大きかったのは「長生きは幸せか?」「幸せな死に方とはなにか?」というテーマで、病気では「がん」「心疾患」「糖尿病」「認知症」です。

 本書が、読者のみなさんが現在を生きていく参考になってくれることを切に願います。どうか、元気で長生きをしてほしいと思います。

 人は必ず死ぬのです。ただし、いまをどう生きるかで、その死は大きく異なります。

 
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